フグの情報収集・交換がなされる「西日本フク研究会」
「西日本フク研究会」は、主に西日本における産・学・官のフグに関心のある方が一堂に会し、フグ類に関する情報の収集・交換を行う場として、毎年梅雨の走りの時期に開催されています。2015年で開催25回目を数える、歴史ある研究会です。
開催場所は「フグの本場」下関市南風泊市場の活魚センターで行われています。
2015年5月30日に開催された研究会では、以下の講演が行われました。
1.アマミノホシゾラフグ:ミステリーサークルをつくるミステリーな「ふぐ」
奄美大島で発見されたシッポウフグの仲間が「アマミノホシゾラフグ」と命名され、新種記載されました。この体調12cmほどのフグは、海底に直径2mのミステリーサークルのような産卵床をつくる特異な生態を持つフグであることが判明しました。
2.フク市場海外への展開
細々ながら現在アメリカ東海岸ではフグ輸出が行われていますが、国の水産物輸出促進の政策もあり、さらに海外への輸出拡大が可能かどうか調査する事になりました。アメリカ西海岸とマレーシアに訪問調査を行い、いずれも手ごたえを感じたとの報告があがりました。
また今回(2015年)のミラノ万博で山口県の展示としてふぐ刺しが披露されました。EUはフグの持込を厳しく禁じていますが、万博特例としてフグを持ち込み、来場者に振る舞ったのはヨーロッパでは初めてのことでした。
3.トラフグ属の耳石 -体が小さくても大きくても耳石は同じ大きさ-
魚には大型の耳石を持つ個体と小型の耳石を持つ個体が存在していますが、体長による大小はほとんど関係がありません。このうち小型の耳石を持つ個体については、耳石を正確に調査すればある程度その魚の年齢を知る事ができるという発表が行われました。
4.しらすに混入したフグ稚魚の種同定と毒性
昨年(2014年)、しらすに毒魚であるフグの稚魚が混入していることが問題になりました。これをきっかけとして、フグ稚魚のしらすへの混入率を調査したところ、混入率はきわめて低い事が判明しました。
通常の食事で大量にフグを摂取する事はないこと、また混入していたフグ稚魚のテトロドトキシン値も規制値をはるかに下回っていたため、健康被害を受ける可能性はないと考えられるとの調査報告がなされました。