「ふぐ」と聞けば、そのおいしさと見た目の愛らしさで皆から愛されているイメージが強いかもしれません。
しかし一部のふぐは、多くの釣り人を悩ませていることをご存知でしょうか?
釣り人に「外道」と呼ばれ嫌われているふぐとは?
多くの釣り人がその存在に悩んでいるふぐ、それは「クサフグ」です。
釣り人からは「餌取り名人の外道」と呼ばれるほどの嫌われようです。
「外道(げどう)」とは、狙っていた本命の魚ではない、釣れても嬉しくない魚のことを指す、釣り業界ではよく使われている言葉です。
先日、ふぐマガでは神秘的なクサフグの産卵の様子(初夏しか見られない! 山口県光市の海岸で今年もクサフグ産卵を観測)をお伝えしました。
クサフグの登場を待ちわびている方もいれば、その存在を疎ましく思う方もそう多くはありません。
今回は多くの釣り人を悩ませ、釣れてほしくない魚として上位にランクされる「釣り人から見たクサフグ」をご紹介いたします。
クサフグはなぜ釣り人を悩ませる?
クサフグは全国の沿岸に生息し、ほぼ全ての堤防で一年中釣れるといわれている魚です。またときには、河川に現れることもあります。
クサフグの体長は10〜25cmと、ほかのふぐに比べると小さな体です。
また背中が緑色なことから、「草河豚」と呼ばれるようになったといわれています。
小さくて可愛らしい見た目から、「膨らんだ姿が可愛い」と人気があるふぐです。
そんなクサフグは、釣り人にとっては厄介な魚になります。
その理由は、本命の魚を釣るために仕掛けたエサをクサフグに横取りされたり、鋭くて硬い歯でエサが付いた仕掛けを噛み切られたりという実害があるからです。
また、クサフグは群れで活動する習性があるため、釣り場に群れが集まってきてしまうとクサフグばかり釣れてしまい、釣りにならないこともあるそうです。
しかし、クサフグは大型の魚が寄ってくるとすぐに逃げる傾向があり、急にクサフグが釣れなくなったときは、大物が近づいている合図であることもあるそうです。
クサフグと釣り人の戦いには問題点も
釣り人は、クサフグなどの「外道」の種類や数を見て、その日の釣り方を決めるそうです。
その中でも「外道の代表格」として恐れられているクサフグは、釣り人達によってさまざまな対策がされています。
いかに工夫してクサフグを避けるかが醍醐味であり、釣り人の腕の見せ所にもなっているようです。
基本的に外道が釣れてしまった場合は、海に還す(リリース)することがほとんどですが、釣りの邪魔をするクサフグに腹を立てて、釣れたふぐを海に返さずに堤防に放置するごく一部の釣り人が問題になっています。
同じふぐが再びエサに食いつかないための処置なのかもしれませんが、カモメやカラスによって食い荒らされて釣り場が汚れたり、沢山のふぐが放置されたまま異臭を放って干からびた状態で発見されることがあります。
釣りの邪魔だからといって、人間の都合で堤防に放り投げて命を奪ってしまうのはマナー違反です。
一部の悪質な釣り人のせいで、釣り人全体のイメージが損なわれることも避けたいもの。マナーを守って釣りを楽しんでいただきたいものですね。
ふぐの素人調理は危険!
クサフグは食用としての許可は下りていますが、テトロドトキシンという強力な毒を持っています。クサフグは体が小さいながらも皮は強毒で、内臓にも猛毒を持っています。
釣れて持ち帰ったとしても素人の調理は大変危険です。どうしても食べたい場合は、ふぐ調理の免許所持者の方に調理をお願いしましょう。
安心・安全にふぐを楽しむなら、やはりふぐ料理店へ足を運ぶのが確実です。
ふぐの本場・下関なら、ふぐの王様とらふぐをはじめ、さまざまな種類のふぐ料理や加工品が手に入ります。
時期によってはクサフグの産卵を、下関と同じ山口県の光市で見学することが可能です。
クサフグの産卵を見に行きがてら、おいしいふぐ料理を楽しむ山口旅行計画を立てるのも楽しいかもしれませんね。