ふぐは毒を持っている魚ではありますが、正しい知識・技術を持つ有資格者の手によって有毒部位が取り除かれた安心・安全な「ふぐ料理」を、私たち消費者はおいしくいただいています。
ふぐは素人調理は危険ということは周知の事実のため、ふぐを捌いたことのある方は少ないかと思います。
有毒部位を取り除く様子を見たことがないという方がほとんどだとは思いますが、ふぐを捌いた際に出る有毒部位はどうなってしまうのかご存知でしょうか?
今回のふぐマガでは、この「有毒部位の行方」について迫ってみたいと思います。
ふぐの調理は免許・資格が必要
そもそも、ふぐの調理にはなぜ免許や資格が必要なのでしょうか?
ふぐは、「テトロドトキシン」という青酸カリの1000倍ともいわれる強力な毒を持っています。
現在も解毒方法が解明されておらず、わずか0.5〜1.0mgで致死量に達する強力な毒物です。
この「テトロドトキシン」は熱を加えても分解されることがなく、通常の調理では毒を取り除くことができません。
そのため、免許・資格を持たない素人によるふぐの調理は食品衛生法で禁止されています。
飲食店や販売店でふぐを提供する際は、各都道府県の定めるふぐ条例に基づいた試験に合格した有資格者による調理か、完全に除毒された「身欠き(みがき)ふぐ」を提供することが必須となっています。
処理されたふぐの有毒部位の行方は?
ふぐを安全に提供するため、調理の際に取り除かれた有毒部位はどうなるのでしょうか?
実は、取り除かれたふぐの有毒部位は、生ゴミなどで捨てることは禁止されています。
ふぐの有毒部位は取り除かれたあと、各都道府県の条例に基づいて専用の容器に入れられ、ほかの食品や廃棄物と混同されないように鍵をかけて厳重に保管されます。
容器に鍵をかけるのは、盗難などによる悪用防止のためでもあります。
その後、専門の業者等により焼却など衛生上の危害が生じない方法で処理されます。
また、ふぐの有毒部位を取り除くために使用した包丁やまな板などは、十分に洗浄して次に使用されます。
まとめ
私たちが普段おいしくいただいているふぐは、正しい知識・技術を持つ有資格者の手によって、安全かつ確実な処理がされていることがお分かりいただけたかと思います。
同時に、容器に鍵をかけて厳重に取り扱うことが定められているほど、ふぐの毒は危険だとされていることも再確認できたのではないでしょうか。
万が一釣りなどでふぐを手に入れても、ご家庭内でふぐの素人調理は危険ですので絶対に行なわないでください。
ふぐをいただく際はふぐ専門店などの飲食店か、有資格者の手で調理されたふぐ料理の通販などを利用し、安心・安全なふぐをおいしくいただきましょう。