ふぐを知る・学ぶ

大きくなって帰ってきてね! 下関で行われているトラフグの稚魚放流

多くの人々がサケやアユ、サクラマスやヤマメなどに代表される魚に願いを込めて行う「稚魚放流」。
その歴史や開催時期などは地域によって多岐にわたりますが、ふぐの本場・下関でも伝統行事などの際にトラフグの稚魚放流が行われています。

トラフグの稚魚放流を行う下関の伝統行事

近年は首都圏などでも行われているトラフグの稚魚放流は、他の魚と同様に昔から日本全国で各団体によって行われてきました。
主に天然ふぐの資源回復や保護活動といった目的で行われており、下関でも毎年の伝統行事の中で行われる稚魚放流が有名です。

ふく供養祭

中でも代表的なのは「ふく供養祭」で、1930年から協同組合下関ふく連盟主催で行われている行事です。毎年ふぐシーズンが終わりを迎える4月の「29日」にふぐの語呂を合わせる形で行われています。
日本全国で最も歴史のある供養祭として知られており、式典には多くの水産関係者が参列します。
トラフグの稚魚放流は毎年式典後に行われ、地元の小学生によって漁港周辺から数千匹のふぐの稚魚が放流され、来シーズンの豊漁を祈っています。

ふく延縄(はえなわ)漁船出航式

「ふく延縄(はえなわ)漁船出航式」は毎年下関で9月に行われており、関係者にとってはふぐシーズンの始まりを告げる大切な行事です。ふぐ漁の豊漁と航海安全を祈って行われ、出航した船には数千匹のトラフグの稚魚が積まれ資源保護と未来のふぐ漁発展を祈願して放流されます。

また、「ふく延縄(はえなわ)漁」発祥の地とされる山口県周南市の粭島では、1996年から毎年7月に地元の小学生によってトラフグの稚魚放流が行われており、海岸の清掃後に「大きくて頼もしいふぐに育ってほしい」と願いを込めて海にふぐが放たれます。

ふぐと未来を担う子供たちの成長を願って

下関のふぐをはじめ、日本全国で行われているサケやアユなどの稚魚放流は、多くが資源回復や保護活動、漁獲を主な目的として水産関係者の手によって行われる一方、地元の自然・名産品を知ってもらうために子供たちが参加する行事が多いのも特徴ですね。

魚の種類は違えど、その多くが豊漁と「いつか大きくなって帰ってきてほしい」という願いが込められ、自然を通して未来を担う地元の子供たちの健やかな成長を祈り、地元文化が次世代へと受け継がれていきます。
現在はまだまだ新型コロナウイルスによる影響が続いていますが、こうした行事を通して未来の水産業界、そしてふぐ業界の発展に期待しつつ困難な時期を乗り切りましょう。

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