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ふぐのふりして身を守る? ノコギリハギの不思議な生態

海で暮らす生き物のなかには、敵に襲われないように自分の姿を岩や海藻など、周囲の環境に似せることで身を隠しているものもいます。
これは「擬態」と呼ばれる方法で、他の生き物に姿を似せるものも存在し、なかでもカワハギの仲間であるノコギリハギは「シマキンチャクフグ」のふりをして身を守っている魚として有名です。
(写真:シマキンチャクフグ)

水族館スタッフもフグと見間違える? ノコギリハギとは

ノコギリハギは、フグ目カワハギ科に分類される魚です。
全長数センチほどの小さな魚で西太平洋やインド洋に分布し、浅いサンゴ礁などに生息しています。国内では琉球列島や小笠原諸島、八丈島などが分布域となっています。
シマキンチャクフグの美しい体色と体型にそっくりな姿は、魚類の擬態の代表例として紹介される機会が多く、水族館などでは一緒の水槽に展示されていることもあり、飼育スタッフもフグと見間違えることがあるそうです。

シマキンチャクフグは他のフグと同様に猛毒「テトロドトキシン」を持っているため、他の魚から襲われることが少ないといわれており、毒を持たないノコギリハギがその特性を利用して身を守っていると考えられています。

ノコギリハギとシマキンチャクフグを見分けるのは一見難しいですが、実はシマキンチャクフグの方が背ビレと尻ビレがずっと小さいという特徴があります。
ノコギリハギは体の半分を覆うほど大きな背ビレを持っているので、水族館などで見かけた際には是非見比べてみてはいかがでしょうか。

このほかには、ハタ科に属するコクハンアラという魚も稚魚から若魚の時期にシマキンチャクフグに擬態して身を守っているといわれています。

シマキンチャクフグとノコギリハギを飼育する方も

シマキンチャクフグによく似た魚としては、同じフグの仲間であるハナキンチャクフグやクマドリキンチャクフグなどがよく挙げられます。
一方、カワハギの仲間で毒を持たないノコギリハギの場合は、進化の過程でどのようにしてシマキンチャクフグに擬態する体となっていったかは分かっておらず、まさに海の神秘ともいえる不思議な生態を持つ魚なのです。

なお、シマキンチャクフグとノコギリハギは個人でも水槽で飼育することができ、特にシマキンチャクフグは初心者でも飼いやすい魚として人気なので、是非おうちに迎え入れてみてはいかがでしょうか?

シマキンチャクフグについては、ふぐマガでも過去に取り上げていますので是非そちらもご覧ください。(世界一のふぐ展示数! 下関「海響館」がシマキンチャクフグの毒性解明)

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