冬の最高級食材として親しまれ、最近では夏にいただく「夏ふぐ」が注目を集めているトラフグ。
そのキュートな見た目とは裏腹に、多くのふぐの仲間が猛毒「テトロドトキシン」を持つなど不思議な生態の魚として知られていますが、実はふぐは独特な鳴き声を持っていることをご存知でしょうか?
そこで今回は、ふぐをはじめとする変わった鳴き声を持つ魚たちをご紹介します。
ふぐの名前の由来にも? 独特な鳴き声を持つ魚たち
海の中で暮らす魚たちの個性はそれぞれですが、なかには独特な鳴き声が名前の由来になっている魚もいます。
ふぐ
ふぐは、敵を威嚇するために上下4本の歯を噛み合わせて「カチッカチッ」と鳴らしたり、釣り上げたときや触ったときに体を丸くして「ブーブー」、「グゥー」といった音を鳴らしたりします。
実は「ふぐ(河豚)」という名前は、ふぐが「ブーブー」と豚のような鳴き声を出すことと、まんまるに膨らんだ姿が豚に似ていることから漢字表記に「豚」の字が使われるようになったといわれています。
ふぐの呼び名や漢字については、ふぐマガでも過去に取り上げていますので是非そちらもご覧ください。(意外と知られていない? 「フグ」をあらわす複数の漢字の存在)
ホウボウ
カサゴ目に属するホウボウは、浮き袋を持つ変わった外見の魚です。
ふぐと同じように独特な鳴き声が名前の由来となったといわれており、浮き袋の振動を利用して「ホーボー」と鳴くことからホウボウと呼ばれています。
イシモチ(グチ)
スズキ目に属するイシモチも浮き袋を使って独特な音を鳴らす魚です。
「グーグー」とまるで愚痴(グチ)を吐いているように鳴くことからイシモチの別名「グチ」と呼ばれるようになったそうです。
ちなみに「イシモチ(石持ち)」という名前は、頭の中に耳石という耳のような働きをする器官を持つことが由来しています。
クマノミ
綺麗なオレンジ色の体が観賞魚として大人気のクマノミは、自分の歯を使って「カチッカチッ」という音を出します。
これはクマノミの縄張りに敵が近づいてきたときに威嚇するために音を出しているといわれています。
カワハギ
ふぐの仲間、カワハギも独特な鳴き声を持つ魚です。「ギッギッ」と歯ぎしりのような音を出したり、「グググググッ」とふぐよりも細かい音を出したりするのが特徴です。
なお、カワハギに見た目がよく似ている「キタマクラ」は皮に毒を持っているため、カワハギを海岸で見かけても無闇に素手で触らないようにしましょう。
カワハギとキタマクラについては、是非こちらもご覧ください。(カワハギと勘違いしやすい有毒ふぐ「キタマクラ」にご用心!)
まとめ
ふぐをはじめとする変わった鳴き声を持つ魚たちをご紹介しました。
海の中で暮らす魚たちのなかにも様々な音で鳴く生き物がいますが、例えば犬や猫のように声帯を使って音を出すのではなく、浮き袋の振動や歯を噛み合わせて鳴き声のような音を出しているのが大きな違いですね。
しかし、相手を警戒したり威嚇したりするために鳴くという点では陸で暮らす多くの動物たちと共通しています。なかには、お互いの存在を知らせるために合図として使っている魚もいるようなので、もしかすると私たち人間には聞こえない音を海中で出している魚もいるかもしれませんね。