ふぐを知る・学ぶ

意外と知られていない? 「フグ」をあらわす複数の漢字の存在

あまり知られていない「河豚」以外の漢字

9月18日に下関市の南風泊(はえどまり)市場で、今年初の競りが行われたことは、ニュースなどでご覧になられた方も多いかもしれません。(ふぐマガでも初競りのことは記事として取り上げさせていただきました。)
冬が旬のふぐ刺し、ふぐ鍋などのふぐ料理を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?

そんな冬の味覚の王者、ふぐは漢字で「河豚」と書きます。(「海豚」と間違われる方もいるようですが、海豚=イルカですのでお間違えのないように。)
一般的に河豚という漢字が浸透していますが、実はその他にも「ふぐ」と読む漢字がいくつもあることはあまり知られていないようです。
みなさんはフグの漢字、いくつご存知でしょうか?

古くから日本で使われていたフグの漢字とは?

平安時代の文献『本草和名』『倭名類聚秒』には、フク(布久)またはフクベ(布久閉)と記されていた記録があります。
フクが濁って「フグ」と呼ばれるようになったのは江戸時代頃からです。ただし、関西では古来より「フク」という呼び方を用い、今でも下関や九州ではフクと呼ぶ方も少なくありません。

「フク」と呼ばれる由来は、口に含んだ海水を海底に吹き付け餌を探す行動の「吹く」に由来するという説や、敵を威嚇するために体を「膨らませる」性質によるもの、「袋」のようだから、など諸説あります。

江戸時代にフグを表す漢字としてよく使われていたのは「鰒」という字。怒腹脹(怒ると腹を脹らます)魚であるからこの字が使われていたという説があるそうです。
ただ、本来この漢字は「アワビ」を意味するため、医者から病気療養のため食事制限を受けていた人が、食べて良いものの中に好物の「鰒」があったため、大喜びでフグを食べたところ毒に当たって亡くなってしまったという笑い話が生まれたとか。もちろん医者はアワビのつもりで記した、というオチがあります。

その他にも魚へんの漢字として、「鯸」「魨」もフクと読むことができます。
こんなにもフグをあらわす漢字があったとは驚きです。

「河豚」の字はもともと中国で生まれたもの

中国では揚子江や黄河など、海よりも河に生息するフグが親しまれていたことから「河」の字が使われ、まんまると膨れた姿が豚に似ていること、釣り上げたときにブーブーと音を出す様子が豚の鳴き声に似ていることから、「豚」の字が使われるようになったと言われています。

中国ではふぐを表す漢字は200種類を超えるそうで、その最古の記録は秦の始皇帝時代の書物『山海経』に「(ふぐを)食べれば人を殺す」と記されているそうです。

日本のみならず他の国でも古来より食用され、愛されていたフグ。その歴史やいわれを漢字からひも解いていくのも、新しい見方ができて面白いですね。

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