ふぐを食べる

食べないなんてもったいない! コラーゲンたっぷりの「ふぐ皮」

9月22日に行われたトラフグの初競りを皮切りに、今年も本格的なふぐシーズンが始まりました。

季節も進み、厚手の服が恋しくなるとともに、お皿が透き通るほど薄く引かれ美しく盛り付けられた「ふぐ刺し」や、旨味が溶け込み最後の〆までふぐの味を堪能し尽くせる「ふぐちり」など、ふぐ料理が恋しい季節になってきたとも言えそうです。

今回はそんなふぐ料理の中でも、ひっそりと、しかし確かな存在感を放つ「ふぐ皮」をクローズアップしてご紹介いたします!

そもそも「ふぐの皮」は食べられるの?

ふぐと言えば、独特の歯ごたえと旨味を味わえる「身(筋肉)」を食べることを連想されるかもしれません。
しかしトラフグなど一部のふぐは、白子と言われる精巣の他に、皮も美味しく食べられる種類があるのです。

ふぐの皮は、主に関西では「てっぴ(鉄皮)」と呼ばれ、ふぐ刺しとともに供されることが多い食品です。
一般的には湯引き(熱湯にさっとくぐらせてから冷水にさらす料理方法)した皮を細切りにして提供されます。そのままネギなどの薬味とともにふぐぽん酢でいただくことが多いですが、煮こごりにして前菜として提供されることもあります。

ふぐの身よりも豊富に海洋性コラーゲンを含み、コリコリとした独特の歯ごたえが楽しめることもあり、ふぐ皮のファンも多いそうです。

ただし、皮は食用不可となっているふぐの種類もあるので、正しい知識と技術を持ったふぐ処理師などの有資格者の手によって提供されたものをお召し上がりください。

ふぐの皮は3層構造! それぞれの特徴

ふぐの皮は、最も外側の皮と、身に張り付いている皮、そしてその中間部位と、3層に分かれています。
最もポピュラーなトラフグの皮では、大きく分けて3種類の皮が食用とされています。

表皮(黒・白)

しっかりとした弾力があり、皮の中では最もコリコリとした独特の歯ごたえを感じられる部位です。

とらふぐの外側の皮は表面に無数のトゲが生えているため、職人の高度な技術(皮すき)によりなめらかになるまで取り除いてから料理に使われます。このトゲを取り除くスピードと仕上がりで、職人の腕の差が大きくあらわれます。
昔は下関の職人のみが皮すきの技術を持っていたとか。現在では機械(皮すき機)でこの作業を行うことが多くなりました。
トゲを含む除去した部位は「鮫皮」の他、「シャミ皮」と呼ばれることもあります。

とおとうみ(黒・白)

中間層にあたるゼラチン質を多く含んだ皮で、もちもちプリプリとした弾力を味わえます。皮の中で最もコラーゲンが豊富なため、女性の支持が高い部位でもあります。

ちなみに、「とおとうみ」という呼び方は、明治になるまでの旧国名の「三河(みかわ)」の国の隣に「遠江(とおとうみ)」という国があったことからきているそうです。
ふぐの最も内側にある「身皮(みかわ)」の隣にある皮だからこの名がついたとは、シャレがきいていますね。

身皮(みかわ)

ふぐの皮をむくと、身に粘膜質の薄皮が残ります。この薄い皮のことを「身皮(みかわ)」と呼びます。
この皮を取ってしまわないと美しい刺身にすることができません。この皮を剥ぐために身の一部といっしょに剥いでしまいます。
その名の通り身がついた皮のため、特に旨味を感じられる部位です。
この部位は細切りではなく、少し大きめに切って提供されることもあります。

ふぐ皮はそれぞれの部位によってコリコリ、くにゅくにゅなど独特の食感が楽しめ、ふぐならではの深みのある旨味を味わえる、クセになる美味しさです。

独特の食感と味わいのふぐ皮をご賞味あれ!

ふぐの皮がここまで奥深いものだとは知らなかったという方も多いのではないでしょうか?

お酒の肴にと皮だけを注文するコアなファンがいるほど、通にはたまらないふぐ皮。その奥深い味わいと独特の食感は、言葉ではなかなかお伝えしきれません。
これまでふぐ刺しやふぐちりだけしか食べたことがないという方も、魅力あふれるふぐ皮をぜひ一度ご賞味ください。
ふぐ料理の奥深さを知ることで、ますますふぐシーズンが楽しみになるかもしれませんね。

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