ふぐの仲間は大きくフグ目に分類されていて、3亜目9科101属で構成され、357種が所属します。トラフグやハリセンボンだけではなく、カワハギやマンボウもこれに属しています。 ここでは、その中でも日本近海で見られ、フグ亜目に属す(一部モンガラカワハギ亜目を含む)いわゆる「フグ」として比較的私たちになじみ深い種類をご紹介します。
旧厚生省が昭和58年12月2日に厚生省環境衛生局長の名前で各都道府県・政令市・特別区区長宛に通知した文書の中で、「処理等によって人の健康を損なう恐れがない」と認められた部位を持ち、「適正な処理の後に販売等を行っても良い」とされている種類をご紹介します。
トラフグ
(写真出典:(独)水産総合研究センター(FRA))
- 学 名
- Takifugu rubripes
- 生息域
- 北海道以南の各地、黄海、東シナ海
- 大きさ
- 70cm前後
- 別 名
- ホンフグ、シロ、トラ、モンフグ(大分・高知)、オオブタ(広島)、オオフグ(岡山)、イガフグ(岡山)
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
背面と腹面に小さい棘(トゲ)が密生し,両胸びれの後方にひとつずつある白輪に囲まれた大きな黒紋が特徴です。しりびれは白く、フグの中では大型で70cm程に成長します。 天然トラフグは最高級品として知られ、味も価格もフグの王様と言われています。 近年天然トラフグの漁獲量が減少しさらに価格が高騰している反面、陸上養殖技術の発達により全国各地で養殖が盛んに行われ、比較的低価格で食べることができるようになりました。皮がしっかりしていて弾力に富むのでふく提灯に向いています。
マフグ
(写真出典:(独)水産総合研究センター(FRA))
- 学 名
- Takifugu porphyreus
- 生息域
- 北海道以南、日本海、東シナ海、黄海
- 大きさ
- 50cm前後
- 別 名
- ナメラ、ナメタ、ナメラフグ、ナメタレ
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
トラフグに次いで重要なフグです。山口県萩市ではフグの女王としてブランド化しているほど。身はトラフグに比べて柔らかいものの、非常においしいフグです。 幼魚から成魚に成長するにつれ体色・模様が変化します。胸びれ後方に大きな黒紋がありますが、白輪がないこと、しりびれは黄色であることがマフグを見分ける特徴となります。棘がなく滑らかな手触りをしていることから、ナメラフグとも呼ばれています。
カラス
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Takifugu chinensis
- 生息域
- 東シナ海、西日本の日本海側
- 大きさ
- 50cm前後
- 別 名
- クロ、ガトラ
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
体の背側が全体的に黒いため標準和名は「カラス」ですが、カラスフグと呼ばれる事が多いフグです。トラフグに似ていますが、しりびれが黒いことで識別することができます。 味は非常に美味ではありますが、トラフグには劣ります。高価なトラフグの代用として乱獲されたため、2014年に絶滅危惧種に指定されました。
ヒガンフグ
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Takifugu pardalis
- 生息域
- 日本各地、黄海、東シナ海
- 大きさ
- 35cm前後
- 別 名
- アカメフグ(関東)、アカフグ、メアカフグ、ナゴヤフグ(身の終わりを「美濃・尾張」にかけて)
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/干物/唐揚げ
背面、体側は淡茶褐色でやや大きめの黒色斑が散布しています。眼球の周りが赤いためアカメフグとも呼ばれますが、標準和名「アカメフグ」という別の種がいるので注意が必要です。春の彼岸頃によく獲れるためこの名で呼ばれています。 トラフグに比べ安価な上、身が硬くしまっていて刺身は特においしいと、下関のみならず各地で人気があるフグです。ただし毒性が強く,こと卵巣と肝臓は猛毒のため注意が必要です。また、岩手県や宮城県の一部で捕獲されたものについては食用が禁止されています(下表参照)。
シマフグ
(写真出典:(独)水産総合研究センター(FRA))
- 学 名
- Takifugu xanthopterus
- 生息域
- 相模湾以南、黄海、東シナ海
- 大きさ
- 60cm前後
- 別 名
- スジフグ、ガンバ(九州)、オテラ(下関)、オマン(下関)
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
体表にある数本の縞模様と鮮やかな黄色いひれが特徴です。味はトラフグ、マフグなどに比べ若干落ちるものの、養殖トラフグが出回るまでは安価なためよく食べられていました。韓国・釜山のチャガルチ市場でも大量に水揚げされています。 皮が厚くトラフグに比べ棘が鋭いためふく提灯には最も適しています。
ショウサイフグ
- 学 名
- Takifugu snyderi
- 生息域
- 東北以南、東シナ海
- 大きさ
- 35cm前後
- 別 名
- ナゴヤフグ(身の終わりを「美濃・尾張」にかけて)、ゴマフグ(東京 ※分類上のゴマフグとは別種)、コメフグ、スズメフグ、フクト
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
体側に黄色線が縦走り、棘がないことが特徴です。味が良いので古くから関東では鍋物として食されていました。江戸時代の俳句や川柳に登場する「ふくと(ふくとう)汁」はショウサイフグを使ったものであろうと言われています。現在は刺身でも好まれています。 内湾でも容易に釣れるため、素人調理で中毒を起こした例もあるため注意が必要です。
コモンフグ
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Takifugu poecilonotus
- 生息域
- 北海道以南、東シナ海
- 大きさ
- 25cm前後
- 別 名
- ナゴヤフグ(身の終わりを「美濃・尾張」にかけて)、ヒガンフグ、ガンバ、ギシフグ、ダイコンフグ
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
背面、体側上部の暗緑褐色部分に多数の淡い色の小円斑がちりばめられており、それが小紋のように見えるためこの名で呼ばれています。背面と腹部にきわめて微細な紙ヤスリのような棘があります。 鍋、刺身は特に美味です。ただし、岩手県や宮城県の一部で捕獲されたものについては食用が禁止されています(下表参照)。
ナシフグ
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Takifugu vermicularis
- 生息域
- 九州、瀬戸内海、東シナ海
- 大きさ
- 25cm前後
- 別 名
- ナゴヤフグ、フグトン
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
ショウサイフグの近縁種で見た目も酷似していますが、胸びれ後方に大黒紋があり、菊花状の白い縁どりがあるのが特徴です。 主に西日本で流通し、刺身や鍋に好んで使われています。筋肉は無毒・もしくは弱毒とされていましたが、韓国から輸入されたものや、日本海沿岸産の一部に強毒の固体が発見されたため、長崎県や瀬戸内海の一部の海域で捕獲されたことが証明されたもの以外は食用が禁止されています。(下表参照)。
ゴマフグ
- 学 名
- Takifugu stictonotus
- 生息域
- 日本各地
- 大きさ
- 45cm前後
- 別 名
- サメフグ、サバフグ
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
ゴマのような小さい斑紋が背側全体にあり体は比較的細長い中型種です。背びれ、尾びれは黒で、しりびれは美しいレモン色であることが特徴です。 普通は鍋で食べることが多いものの、近年は大量に捕獲されるため、加工品にも多く使用されています。福井県・石川県では卵巣を糠漬けにして食べることでも知られています。
クサフグ
- 学 名
- Takifugu niphobles
- 生息域
- 日本各地(北海道を除く)
- 大きさ
- 15cm前後
- 別 名
- スナフグ、ハマフグ
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
背面、体側上部は暗青緑色に小白斑が散布しています。胸びれ後方と背びれの根元に黒紋があるのが特徴です。 投げ釣りでよくかかるため目にする機会が比較的多いものの、釣り人からは「餌取り名人の外道」と嫌われています。 小さいにもかかわらず内臓は猛毒、皮は強毒。筋肉は弱毒で美味ではあるが、素人が扱うべきではないフグです。 春に集団で産卵することでも知られており、産卵場所として山口県光市室積が良く知られています。
アカメフグ
- 学 名
- Takifugu chrysops
- 生息域
- 本州中部の太平洋側
- 大きさ
- 25cm前後
- 別 名
- ヒガンフグ(東京)
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ
背面、体側、各ひれは美しい赤褐色なのが特徴です。ヒガンフグよりは少ない小黒斑が散布しています。眼球の周りが赤いためアカメフグと呼ばれています。 流通量が限られているため下関で目にすることはまずありません。東京ではヒガンフグと呼ばれることもあり、混同されやすいので注意が必要です。
カナフグ
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Lagocephalus inermis
- 生息域
- 南日本、南シナ海、東シナ海、インド洋、オーストラリア
- 大きさ
- 90cm前後
- 別 名
- キンフグ、ギンフグ、ギロ
- 食べ方
- 鍋/みそ汁/唐揚げ
金属のような見た目からカナフグと呼ばれる、非常に大型のフグです。体側に目立つ斑点がなく、体側背面には小棘がないなどの特徴があります。 以前は下関の市場でもたまに見ることができましたが、現在市場にはほとんど流通していません。
シロサバフグ
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Lagocephalus spadiceus
- 生息域
- 鹿児島県以北の日本沿岸、東シナ海、台湾、中国沿岸
- 大きさ
- 35cm前後
- 別 名
- ギンフグ、カナト(下関)、シロカナト
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ/焼きフグ/一夜干/煮付け
サバのような体色からシロサバフグと呼ばれています。体色、ひれなどの色がクロサバフグと比べると淡く明るく、小さな棘が身体の頭部周辺にのみあるのが特徴です。 毒がなく安価なため使用法は多岐にわたりますが、トラフグ類に比べて味が劣るため、干物や加工原料として利用されることが多いフグです。 近縁種に猛毒種指定されているドクサバフグがあり、混獲されることあるので鑑別には細心の注意を払う必要があります。
クロサバフグ
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Lagocephalus gloveri
- 生息域
- 北海道以南、東シナ海、南シナ海、インド洋
- 大きさ
- 35cm前後
- 由来
- 体色から
- 別 名
- カナト(下関)、クロカナト、アオタ
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/唐揚げ/一夜干
シロサバフグとよく似ていますが、ひれなどに黒の割合が多いためクロサバフグと呼ばれています。小さな棘が身体の頭部周辺にのみあるのが特徴です。 毒がなく安価なため主に加工用に使用されます。ただし南方で捕獲されたものには毒のある固体があるので注意が必要です。 さらに近縁種に猛毒種指定されているドクサバフグがあり、混獲されることあるので鑑別には細心の注意を払う必要があります。
ヨリトフグ
- 学 名
- Sphoeroides pachygaster
- 生息域
- 世界各地
- 大きさ
- 40cm前後
- 別 名
- カワフグ(革河豚)、ミズフグ(沼津)、チョウチンフグ、デデフグ
- 食べ方
- 鍋/みそ汁/唐揚げ
フグの中でも分布範囲がもっとも広い種です。 体の背側は青緑色で腹側は白く、斑紋・小棘はありませんが、小じわのような細かい模様が見られます。水深100?300mのやや深い海に棲んでいます。皮膚はたるんでいて、水を飲み込んでいることが多いです。 味はトラフグなどより劣り加工用に使用されますが、生ではほとんど流通していません。
サンサイフグ
- 学 名
- Takifugu flavidus
- 生息域
- 黄海、渤海、東シナ海北部
- 大きさ
- 40cm前後
- 別 名
- イロモノ、ウグイス、モフグ
- 食べ方
- 鍋
日本沿岸ではほとんど見られません。 幼魚と成魚では色・柄が変化し、成魚は背面、体側上部は濃黄褐色、腹側に淡黄褐色のラインが見られます。胸びれ後方に不定形の黒紋があるのが特徴です。幼魚は背側に小白点が見られます。
メフグ
- 学 名
- Takifugu obscurus
- 生息域
- 東シナ海、南シナ海、中国・朝鮮半島の河川
- 大きさ
- 45cm前後
- 食べ方
- 刺身/煮込み/あんかけ
背面、体側上部は暗褐色で、背部を横切る数本の淡色帯が見られます。 古来、中国では淡水・河川等に生息するメフグを美味として食用にし、「河豚」と呼んでいたそうです。ふぐを「河豚」と書く由来はここからきていると言われています。産卵期は4?6月で、5月の最盛期が旬とされます。 日本沿岸ではほとんど見られませんが、近年輸入もされています。
イシガキフグ
(写真出典:WEB魚図鑑)
- 学 名
- Chilomycterus reticulatus
- 生息域
- 太平洋の温帯域から熱帯域
- 大きさ
- 80cm前後
- 別 名
- イガフグ、イバラフグ、ハリフグ(和歌山)、コンペ(新潟)
- 食べ方
- 鍋/みそ汁
ハリセンボンの仲間で、体の表面を強くて短い棘がおおっています。世界の温帯から熱帯水域に分布流通が限られているため、下関で目にすることは皆無です。 無毒といわれ、伊豆諸島や沖縄では食用とされています。
ハリセンボン
- 学 名
- Diodon holocanthus
- 生息域
- 全世界の温帯域・亜熱帯域
- 大きさ
- 30cm前後
- 別 名
- アバサー(沖縄)、イガフグ、イラフグ、ハリフク
- 食べ方
- 鍋/みそ汁
体全体が長く、体表にはウロコが変化した鋭い針を持ち、身の危険を感じると胃に大量の海水を飲み込み棘を立てて球状となって自衛する姿で知られるフグです。 ハリセンボンという名ではありますが、実際の針は1000本もなく、350〜400本程度になります。 対馬海流に乗って山陰や北陸に大量に回遊し、浜に打ち上げられることがあります。特徴的なっ見た目からふく提灯にもされますが、当社では取り扱っていません。
ヒトヅラハリセンボン
- 学 名
- Diodon liturosus Shaw
- 生息域
- インド洋、太平洋の温帯から熱帯域
- 大きさ
- 60cm前後
- 別 名
- アバサー(沖縄)
- 食べ方
- 鍋/みそ汁
体は長い卵型で、ハリセンボンより短い棘でおおわれ、背面には数個の黒い斑紋があります。眼は大きく、口は小さいのが特徴です。正面から見ると人の顔に似ているからか、この名で呼ばれています。市場にはほとんど出回りません。
ネズミフグ
(写真出典:(独)水産総合研究センター(FRA))
- 学 名
- Diodon hystrix Linnaeus
- 生息域
- 全世界の温帯域から熱帯域
- 大きさ
- 90cm前後
- 別 名
- イノーアバサー(沖縄)
- 食べ方
- 鍋/みそ汁
茶色地に黒斑点が腹部を除く全体に見られます。ハリセンボンに比べ短い棘におおわれており、ハリセンボンの仲間では最も大きい種類になります。市場にはほとんど出回りません。
ハコフグ
(提供:長崎県水産部HP「ゆめとびネット」)
- 学 名
- Ostracion immaculatus
- 生息域
- インド洋、太平洋
- 大きさ
- 40cm前後
- 別 名
- カタフグ、スッポ、ウミスズメ
- 食べ方
- 刺身/鍋/みそ汁/みそ焼き
処理等により人の健康を損なうおそれのないフグの種類および部位
種類 | 筋肉 | 皮 | 精巣 |
---|---|---|---|
トラフグ | ○ | ○ | ○ |
マフグ | ○ | × | ○ |
カラス | ○ | ○ | ○ |
ヒガンフグ | ○ | × | × |
シマフグ | ○ | ○ | ○ |
ショウサイフグ | ○ | × | ○ |
コモンフグ | ○ | × | × |
ナシフグ | ○ | × | ○ |
クサフグ | ○ | × | × |
ゴマフグ | ○ | × | ○ |
カナフグ | ○ | ○ | ○ |
シロサバフグ | ○ | ○ | ○ |
クロサバフグ | ○ | ○ | ○ |
ヨリトフグ | ○ | ○ | ○ |
アカメフグ | ○ | ○ | ○ |
メフグ | ○ | ○ | ○ |
サンサイフグ | ○ | × | × |
イシガキフグ | ○ | ○ | ○ |
ハリセンボン | ○ | ○ | ○ |
ヒトヅラハリセンボン | ○ | ○ | ○ |
ネズミフグ | ○ | ○ | ○ |
ハコフグ | ○ | × | ○ |
日本近海でも見られるフグで、筋肉・皮・精巣がすべて有毒部位であったり、毒性が不明のため販売流通が認められていない種類を中心にご紹介します。
コモンダマシ
- 学 名
- Takifugu alboplumbeus
- 生息域
- 東シナ海、南シナ海、東インド諸島
- 大きさ
- 30cm前後
- 由来
- コモンフグに似ているため
- 別 名
- イロモノ、ウグイス、カメ
コモンフグによく似ていますが、背中の小棘にわずかな微小白点があること、体側白点の形の違いによって区別ができます。筋肉にも毒があるので注意が必要です。
ムシフグ
- 学 名
- Takifugu exascurus
- 生息域
- 相模湾、佐渡、山口県、長崎県等
- 大きさ
- 20cm前後
- 由来
- 虫がはった跡のような体側の模様から
- 別 名
- コモンフグ、ナゴヤフグ
皮は有毒であることが確認されていますが、筋肉・精巣の毒性については不明です。 日本特産種でもあり、虫がはった跡のような模様は、個体によって異なります。
タキフグ
(写真出典:(独)水産総合研究センター(FRA))
- 学 名
- Takifugu oblongus
- 生息域
- 東シナ海、南シナ海、フィリピンから南アフリカ、オーストラリア
- 大きさ
- 25cm前後
- 由来
- 滝のような模様が体側にあるから?
体側と背面に淡色の斑点と帯状のラインがあることが特徴です。毒性は不明。トラフグ属の学名Takifuguはこの種に由来しています。
ドクサバフグ
(写真出典:WEB魚図鑑)
- 学 名
- Lagocephalus lunaris
- 生息域
- 東シナ海、南シナ海、インド洋、まれに日本沿岸
- 大きさ
- 40〜50cm前後
- 由来
- 無毒のサバフグに似るが毒があるため
無毒のサバフグ類と異なり、小棘が背びれまであることや、尾ひれの形や色彩の差異によって区別することができますが、筋肉にも強い毒を有するため素人判断はとても危険なフグです。
クマサカフグ
(写真出典:WEB魚図鑑)
- 学 名
- Lagocephalus lagocephalus oceanicus Jordan and Fowler
- 生息域
- 相模湾・佐渡以南の暖海外洋、インド・西太平洋域、ハワイ
- 大きさ
- 50cm前後
- 別 名
- カナト
胸びれ下に黒い斑点が散らばり、腹部は小棘におおわれているものの、背面に棘はないことなどが特徴です。 毒性は不明。遊泳性の強いフグで、通常は沖合の表層を遊泳しています。
センニンフグ
(写真出典:WEB魚図鑑)
- 学 名
- Lagocephalus sceleratus
- 生息域
- 本州中部以南、インド洋、太平洋の熱帯域、紅海
- 大きさ
- 1メートル前後になる
- 別 名
- ギンフグト
背面に小黒点、体側に銀白色の帯線があることが特徴です。西日本では秋から冬に30〜35cmの若魚が混獲されることがあります。筋肉にも毒があるため注意が必要です。
シッポウフグ
(写真出典:WEB魚図鑑)
- 学 名
- Amblyrhynchotes hypselogeneion
- 生息域
- 南日本、紅海、インド洋、太平洋の暖海
- 大きさ
- 15cm前後
- 由来
- 七宝のように美しいため
- 別 名
- イロモノ、ウグイス、カメ
背側は褐色で、黒色と淡青色の小円点が散在し、腹側は白いことが特徴です。浅海の砂底中に潜る習性があります。海底にミステリーサークルを作ることで知られるアマミノホシゾラフグは近縁種です。毒性不明。
ホシフグ
- 学 名
- Arothron firmamentum
- 生息域
- 本州中南部、東シナ海、南シナ海、オーストラリア、ニュージーランド
- 大きさ
- 40cm前後
- 由来
- 全体的に小白点があるため
- 別 名
- クロフグ
本州中部以南で大量に発生する事があります。皮が比較的固いので、見栄えが良いふく提灯ができます。ただし最近ではほとんど見かけなくなったフグです。毒性不明。
モヨウフグ
- 学 名
- Arothron stellatus
- 生息域
- 茨城県以南、インド洋、太平洋の暖海
- 大きさ
- 80cm前後
- 別 名
- シロアミフグ、アキフグ
全身に小棘があり、肛門部は黒いこと、体面に小黒点が散りばめられていることが特徴です。体色・斑紋が成長とともに著しく変化することでも知られています。毒性不明。
サザナミフグ
- 学 名
- Arothron hispidus
- 生息域
- 東シナ海、南シナ海、インド洋、太平洋の熱帯・亜熱帯域
- 大きさ
- 50cm前後
- 由来
- 腹部にさざ波のような模様があるため
- 別 名
- ヨコシマフグ
腹部に波状のラインがみられますが、成魚になると消え、白くなります。 本州で5〜10cmの若魚が見られますが、筋肉にも毒があるため注意が必要です。
ヨゴレフグ
- 学 名
- Arothron nigropunctatus
- 生息域
- 沖縄以南、インド洋、太平洋の熱帯域
- 大きさ
- 25cm前後
- 由来
- 体側のわずかな小黒点が汚れに見えるため
体の全体に小棘があります。体色は個体差が非常に大きく、暗い色から鮮やかな黄色いものまで様々な色が見られます。毒性不明。
ミゾレフグ
- 学 名
- Arothron meleagris
- 生息域
- 沖縄以南、太平洋の熱帯・亜熱帯域
- 大きさ
- 30cm前後
- 由来
- 体にある小さな白点模様から
ホシフグより小さな白点が黒紫色の地色に密に点在するためこの名で呼ばれています。毒性不明。
ケショウフグ
- 学 名
- Arothron mappa
- 生息域
- インド洋、太平洋の熱帯域、本州中部以南に出現することがある。
- 大きさ
- 60cm前後
- 別 名
- メバリテンジクフグ
目に放射状の模様があることが大きな特徴で、ほぼ全身に小棘と虫食い状の白い模様が見られます。毒性不明。
ワモンフグ
- 学 名
- Arothron reticularis
- 生息域
- 沖縄、台湾、インド洋、太平洋の熱帯域
- 大きさ
- 50cm前後
- 由来
- 目の周囲に環状の白線がある
- 別 名
- ヒジサ
ほぼ全身に小棘があります。サザナミフグに似ていますが、頭部と体側の白線によって区別することができます。毒性不明。
キタマクラ
- 学 名
- Canthigaster rivulata
- 生息域
- 本州中部以南の太平洋
- 大きさ
- 20cm前後
- 由来
- 食べると北枕に寝かされる(=死を意味する)ことから
- 別 名
- イソネズミ、ウメフグ、キンチャクフグ
背面と腹部に小棘があります。カワハギのような扁平とした体で、個体によって体色・斑紋がかなり異なります。筋肉は無毒、皮と精巣は有毒です。
オキナワフグ
(写真出典:WEB魚図鑑)
- 学 名
- Chelonodon patoca
- 生息域
- 沖縄以南の暖海、アフリカ東南岸、オーストラリア北部まで
- 大きさ
- 沖縄産は17cm前後
体側に暗青緑色と淡色の網目模様があり、背面と腹部に小棘があることが特徴です。 インド産は40cmと大型になるため、沖縄産とは別種(亜種)とも言われています。
近年、愛嬌のある見た目から観賞用として飼育されるフグの人気が高まっています。 観賞用フグの代表的な種類をご紹介します。
ミドリフグ
- 学 名
- Takifugu alboplumbeus
- 生息域
- インド、インドネシア、スリランカ、タイの汽水域
- 大きさ
- 15cm前後
- 別 名
- グリーンフグ
体表に鱗はなく、薄緑色の地に黒い斑紋が点在しています。 愛らしい見た目とは裏腹に気性が荒く雑食性で、自分より弱い魚や貝をかじったり食べたりするため、混泳には向かない魚です。 逆に自分より強い魚と混泳させるとストレスがかかり、自己防衛のために腹部を膨らまし続け、ストレスが限界二達すると猛毒のテトロドキシンを放出し、水槽内の魚が全滅する場合があるため、単体での飼育が望ましいとされています。 なお、ミドリフグのゲノム(DNAのすべての遺伝情報)は、脊椎動物の中でサイズが最も小さくジャンクDNAも少ないことが明らかになり、フグのゲノムとヒトゲノムを比較することで、DNA進化構造が一致するものはジャンクではない遺伝子だと判断でき、脊椎動物進化の謎を解き明かす手がかりになると注目されています。
ハチノジフグ
- 学 名
- Tetraodon biocellatus
- 生息域
- タイ・インドネシアの汽水域
- 大きさ
- 15cm前後
- 別 名
- エイトフグ
背の模様が数字の「8」のように見える事が名前の由来です。実際には個体差が大きく、8の字には見えないものも沢山います。 一般的に気性が荒いと言われ、混泳させると他の魚のひれをかじることがあるため、単体での飼育が望ましいフグです。