「フグ毒」とも呼ばれ、青酸カリのおよそ1,000倍の毒力といわれる猛毒「テトロドトキシン」。
東京大学と長崎大学の研究グループでは、人工的に孵化した「無毒のトラフグ稚魚」に対し、フグ毒をエサに混ぜて与えると、腸内フローラが変化することを明らかにしたと共同で発表しました!
フグにフグ毒を与えた驚きの結果とは?!
フグが持つ「テトロドトキシン(TTX)」は、わずか0.5〜1.0mg摂取するだけで致死量に達し、解毒剤もなく300度以上で加熱しても分解されず、誤って口にしてしまうと最悪の場合は死に至ることもある猛毒です。
神経を麻痺させる強力な神経毒であり、これはヒトを含めた動物の神経細胞にあるナトリウムチャンネルに結合して神経伝達をブロックしてしまうためですが、これまでは細菌に対する阻害効果はないとされてきました。
しかし近年、フグ毒が一部の細菌に対して増殖阻害効果を持つ可能性が報告されたことを受け、人工的に孵化して飼育した「無毒のトラフグ稚魚」にフグ毒を混ぜたエサを与えるという実験を行い、「腸内フローラ(腸内に生息する細菌の集団)」が変化するかどうかが調べられました。
その結果、一部の細菌種の組成に違いが生じることが判明し、脂質や糖代謝に違いが出る可能性があることが分かりました。
研究グループによると、腸内細菌の機能的な変化がフグに対してどのような影響を与えるかについては現時点では不明とのことですが、「今後明らかになることでフグのより良い飼育環境づくりや、自然環境において適切な資源管理につながることが期待される」ということです。
近年フグに関する研究成果が度々話題に!
今回、新たに判明した「テトロドトキシン摂取によるフグの腸内フローラ変化」をはじめ、2022年に名古屋大学が新発見した「フグ毒の匂い」など、日本では昔から多くの人々の努力によって、フグやテトロドトキシンに関する様々な研究が行われてきました。
このほかにも、東京海洋大学が2021年に成功した「イシガキフグの人工孵化」や、下関の水族館「海響館」が論文を発表し大きな話題となった「フグが目をつむる仕組み」など、近年様々な研究成果・新発見が注目を集めています。
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