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まるで「鳥肌」のような防寒能力? マンボウの驚きの生態が明らかに

ふぐの仲間として知られる「マンボウ」。
ふぐが進化した姿ともいわれ生態にまだまだ謎が多い魚ですが、実はマンボウの体には人間でいうところの「鳥肌」のような防寒の仕組みを持つ可能性があることが分かり、今話題を集めています。

水族館で人気の世界最大の硬骨魚類・マンボウの謎多き生態

マンボウは、生物学ではフグ目マンボウ科マンボウ属に分類されるふぐの仲間です。
大型になると全長3メートル、体重1トンを超える巨大な体を持つ世界最大の硬骨魚類の一種であり、水族館などではゆったりした泳ぎ方とボーッとした顔つきが可愛らしいと人気を博しています。

その一方で、マンボウの生態はまだまだ謎が多く、現在も研究が進められています。
そして今回、マンボウが「体が冷えるのを抑えるための何らかの仕組み」を持っている可能性があることを長崎大学が論文として発表しました。

長崎大学によって行われた調査の驚きの結果とは?

長崎大学によって行われた調査の驚きの結果とは?

マンボウは周囲の水温によって体温を調節する外温性の魚類であり、海面で体を横倒しにして浮かぶ「マンボウの昼寝」と呼ばれる独特の習性を持つことで知られていますが、これは餌を獲りに潜水して冷えた体を海面に浮かべることで温めているといわれています。

過去に三陸沖でマンボウに深度や水温、体温を測る装置をつけて行われた調査では、潜水して極低水温の中で体が冷える時より温かい海面で温まる時の方が体温の変化が4倍速かったという結果から、「効率良く体を温める何らかの仕組み」があるのではないか、と考えられていました。

しかし、長崎大学の研究グループによって、より水温が高い鹿児島湾で調査を行い比較したところ、「体温をあまり上げすぎないようにマンボウにとって暑い海面では体の温まり方が鈍るはず」という予測に反して、三陸沖の海面で温まる時と同じ速さで温まるという結果になりました。
その一方で、潜水した際の体の冷え方は鹿児島湾の方が2〜3倍速く、体が冷える時と温まる時の体温変化の差も三陸沖に比べて少ないという結果となり、つまり三陸沖の極低水温の中ではマンボウの体の冷え方がゆっくりであったことが明らかになったそうです。

このことから、マンボウには「効率良く体を温める何らかの仕組み」があるのではなく、実は「体が冷えるのを抑えるための何らかの仕組み」があり、人間が寒い時に鳥肌を立てて体温の熱を逃がしにくくするメカニズムのようなものをマンボウも持っている可能性があることが分かりました。

謎多きマンボウの生態のさらなる解明に期待しよう!

今回、マンボウには体が冷えるのを抑えるための仕組みがある可能性が明らかになったことにより、魚の体温と水温の関係を明らかにすることで、例えば地球温暖化による海水温上昇が魚類の行動にどのような影響を及ぼすのかといった疑問のさらなる解明に期待が寄せられています。

まだまだ生態に謎が多いマンボウですが、現在も多くの方の努力によって日々研究が進められています。ふぐが進化した姿ともいわれるマンボウが他にはどのような生態を持つのか今後の研究結果を楽しみに待ちましょう!
「マンボウ」についてはふぐマガで、過去にも取り上げていますのでそちらもご覧ください。(実はふぐの仲間だった?! マンボウとふぐの共通点)

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