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ふぐ肝は安全? ふぐ肝を巡る論争にひとつの結論

猛毒であるテトロドトキシンを含むため、法律で流通が禁止されている「フグの肝」。
その肝に対して、佐賀県の事業者が独自の方法で養殖・検査を行った養殖トラフグの肝を、食用禁止規定から除外してもらう「特区」の申請を佐賀県が行ったのが今年2月。
各都道府県の関係団体、飲食店、市場関係者らから構成されている全国ふぐ連盟は、この申請に対して安全性が確保できないと反対の姿勢を示すなど、ふぐ業界内では大変注目されているニュースでした。

ふぐマガでも以前「養殖フグ肝は安全か? 揺れるフグ肝論争」としてお伝えしていましたが、12月7日にこの論争に対するひとつの結論が出されました。

ふぐ肝解禁に対する注目の結論は?

国の食品安全委員会専門調査会はこれまでに検討を進めてきましたが、今回の佐賀県の特区申請については「食品としての安全性が確保されると確認できない」ので許可しないという結論を出しました。

理由としては、トラフグが肝臓に毒を持つメカニズムがまだ十分に解明されていないこと、佐賀県が提案していた養殖トラフグの肝臓検査では、肝臓全体の安全性を保証することはできないというものです。

最終的な判断は一般からの意見(パブリックコメント)を聞いたうえで、厚生労働省が正式に発表するとされていますが、今回の調査会の結論は最終判断に大きく影響するものと思われます。

そもそもフグの毒とは?

ふぐに毒があることはご存知の方も多いとは思いますが、改めておさらいをすると、フグは「テトロドトキシン」と呼ばれる毒性物質を体内に蓄えています。
テトロドトキシンは強毒で、その毒性は毒性物質として知られている青酸カリの約1000倍と言われています。

テトロドトキシンはふぐの肝臓のほかにも、卵巣、種類によっては皮や筋肉にも含まれています。テトロドトキシンは通常の加熱などの調理方法で壊れることのない大変危険な物質です。

料理店などでは、ふぐをの有毒部位を除去する知識・技術を持った有資格者が、適切な処置のものと料理を提供しているため安心してお召し上がりいただけますが、資格を持たない釣り人などにより、フグを自宅で素人調理したことによって食中毒を起こしたというニュースも耳にします。
食中毒事故を起こさないためにも、有毒部位の販売・提供は食品衛生法により厳しく禁止されているのです。

確立されたふぐ食の安全性を第一に

佐賀県では、これまでに2004年と2010年にもトラフグの肝解禁を求める申請を行っていましたが、今回も解禁には至りませんでした。

これまで先人たちが長い時間をかけて、現在の安心・安全なふぐ食文化が構築されてきたことを思うと、より安全性の高い方法が確立されないことには、ふぐ肝解禁には賛同しかねるのではないでしょうか。
佐賀県の挑戦には頭が下がる思いですが、確立されているふぐ食の安全を脅かすような安易な解禁には至らないでほしいというのが、一消費者としての正直な感想です。

いずれにせよ、ふぐマガでは今後の動向についても引き続き注視していきたいと思います。

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