毎年5月中旬から7月上旬ごろに迎えるクサフグの産卵期。今年も日本各地から続々と産卵のニュースが届いています!
神秘的な命の営み クサフグの産卵期
「クサフグの産卵期」はふぐ業界では初夏の風物詩で知られており、山口県の光市では産卵地一帯が県天然記念物に指定されています。
例年産卵が行われる日を推定して一般向けに観察会も開催されていて、クサフグは産卵に適した海岸を選んでやってくる習性があるので「今年も確認できてよかった」とホッとする声も寄せられています。
光市以外の地域では、兵庫県神戸市垂水区の海水浴場や神奈川県三浦市内の海岸などでクサフグの神秘的な命の営みが繰り広げられ、早いところでは4月下旬ごろに宮崎県の延岡市鯛名町の入り江で産卵する様子が観察されています。
クサフグの産卵は満潮前に見られる光景で、群れが海岸の波打ち際に現れると雌が小石の隙間などに卵を産み始め、雄が体を跳ね上がらせながら放精してその後受精します。3、4日から1週間後には稚魚が孵化し、広い海へと旅立っていきます。
クサフグの産卵観測については、ふぐマガでも過去に取り上げていますので是非そちらもご覧ください。(山口県・光市で3年ぶり「クサフグ産卵」観察会が開催)
なお、クサフグは産卵時になると非常に警戒心が強いため見学会に参加する際は、必ずスタッフの指示に従って見守りましょう。
近年は新種ふぐの産卵も大きな話題に
例年ふぐ産卵の様子がニュースになっているのは、クサフグだけではありません。鹿児島県の奄美大島沖などで春から夏に産卵期を迎えるアマミホシゾラフグも有名です。
海底の砂地に卵を産むために、1週間ほどかけて作られた直径2メートルほどの産卵床がまるでミステリーサークルのようだと毎年注目を集めています。
アマミホシゾラフグは2014年に新種のふぐと確認され、2015年には新種18,000種の中から「世界の新種トップ10」に選ばれて大きな話題となりました。
世界の広い海の中では、まだまだ私たちの知らないところで見たこともない新種の魚達が命をつなぐ神秘的な光景を繰り広げているのかもしれませんね。