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養殖トラフグへの被害8万匹以上! 熊本県・八代海で赤潮発生

ふぐの養殖で知られる熊本県・津奈木町。
8月8日、八代海の沖合で養殖されているトラフグが「赤潮」が原因で大量死しているのが見つかったと報告され、業界関係者をはじめ多くの心配する声が寄せられています。

約8万5,000匹にのぼる養殖トラフグが大量死する被害に

今回、八代海全域で発生した赤潮が原因となって沖合で養殖されているトラフグが大量死した事態を受けて、熊本県による対策本部が立ち上げられました。
養殖業者によりますと8月10日時点で津奈木町だけで8万5,000匹にのぼる養殖フグが死んだと報告されており、被害の詳細は調査中とのことです。
県の農林水産部長を本部長とした水産関係危機管理対策本部が設置され、養殖をしている魚へのエサやりを中断・漁場の監視、状況に応じて緊急出荷などを行うよう呼びかけられました。

八代海では、7月27日ごろから魚介類に有害なプランクトンである「カレニアミキモトイ」が大量発生し、「赤潮警報」を発令して注意が呼びかけられていました。
今後も晴天が続くことで、八代海で確認されている赤潮の範囲がさらに広がる恐れがあるとみて警戒を強めています。

熊本県は2021年度も赤潮で9,100万円の被害が出ており、組合では八代市の八代共同魚市場への魚の入荷が普段よりも少ない原因も赤潮の影響なのではないかとみています。

迅速な環境対策が求められている「赤潮問題」

赤潮による養殖トラフグへの被害は各地で度々報告されており、深刻な影響を受けています。
赤潮は生活・工場排水などが海に流れ込むことで海水に含まれる栄養分が多くなり、プランクトンが大量発生して海が赤く染まったようにみえる現象のことをいいます。
赤潮になるほどプランクトンが急激に増殖すると、水中の酸素が消費されたり、プランクトンが魚のエラに張り付いたりすることで魚が呼吸困難になって大量死につながる危険が高まってしまうのです。

近年では2017年に長崎県の伊万里湾で被害総額が約5億円を超えたほか、山口県の下松市笠戸島では2020年に養殖トラフグが全滅したことを受けてクラウドファンディングが実施されました。
赤潮は特に暖かい夏場に起きやすく、漁業に深刻な被害をもたらす社会問題の一つとして未然に防ぐ迅速な環境対策が求められています。

9月末からスタートするトラフグシーズンを前に大きな被害を受けてしまった八代海の赤潮問題が1日も早く収束することを願うばかりです。

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