山口県最大級の養殖トラフグの産地、下松市笠戸島の栽培漁業センターで今年もトラフグの稚魚約3500匹の「歯切り」作業が行なわれました!
毎年恒例! トラフグ稚魚の「歯切り」作業
トラフグの養殖が盛んなことで知られている山口県下松市笠戸島の栽培漁業センターでは、毎年6月に稚魚の歯切り作業が行われています。
トラフグは上下2枚ずつ計4枚の硬い歯を持ち、成長するとふぐ同士で尾びれを噛み合って傷つけ、それが原因で病気を引き起こす恐れがあるほか、海に設置された生け簀(魚を一時的に飼育するスペース)を噛み切って逃げ出す可能性があることから稚魚のうちに歯切りを行って防止しています。
歯切り作業当日は、同センターの職員3人が海上いかだに座り込み、一匹ずつ手にとって乳児用の爪切りで生後約3ヶ月の稚魚約3500匹の歯を切りました。
口の中を傷つけないように慎重に、上下2枚ずつ生えている歯のうちの上下どちらかに爪切りを入れていくという大変な作業です。
今回、歯切りが行われたトラフグの稚魚のうち約2000匹は7月に周南市沖に放流される予定で、残りの約1500匹は約1年半かけて体長40センチ、重さ2キロほどに成長させたあと、来年秋に市内の宿泊施設や飲食店に出荷予定とのことです。
下松市笠戸島では30年ほど前からトラフグの養殖生産が行われており、「笠戸のとらふぐ」として地域の観光資源となっています。
ふぐの歯の切れ味はピラニアにも匹敵する?
ふぐが持つ硬くて鋭い歯は、エビやカニなどの甲殻類や貝をも噛み砕いて捕食できるほどのパワーを持つことで知られ、歯の切れ味はピラニアにも匹敵するといわれています。
そのため、養殖場で行われている歯切り作業も素手では噛まれて大怪我する危険があるので、必ず軍手などを着用して行われています。
また、釣りの現場では、特にクサフグは他の魚を釣るために仕掛けたエサを横取りしたり、その鋭く硬い歯で仕掛けごと噛み切ったりと、釣り人からは「餌取り名人の外道」とも呼ばれています。
ふぐの種類によっては歯を二枚、三枚持っている種類も存在していますが噛まれると大変危険なことには変わりないため、海や川でふぐを釣り上げても不用意に触るのは絶対に避けましょう。
「ふぐの歯」についてはふぐマガで、過去にも取り上げていますのでそちらもご覧ください。(ふぐの歯はピラニアに匹敵する切れ味?!)
立派に成長したふぐをおいしくいただこう!
ピラニアにも匹敵するといわれているふぐの硬くて鋭い歯は、他のふぐを傷つけてしまう恐れがあることから元気で立派に成長してもらうために「歯切り」は欠かせない作業なのです。
ふぐ料理も他の料理と同様に、生産・養殖の段階から多くの人々の努力の積み重ねで私たちの元へと届けられています。
ふぐ料理をいただくときには、今回ご紹介した「ふぐの歯切り」について思い出してみると何か新たな発見があるかもしれませんね。