2018年8月21日、ふぐサミット実行委員会主催の「ふぐサミット2018」が、築地市場内にある厚生会館にて今年も開催されました。
「ふぐサミット」とは、ふぐの生産や流通、販売や研究などの各分野から関係者が出席し、今後の成果に繋がる課題を協議する場です。
ふぐの生産から販売についてや、ふぐ毒に関する課題について約4時間にわたってさまざまな意見交換が行われました。
ふぐ消費の減少について
ふぐサミット2018前半は、主にふぐ消費の減少について協議が行われました。
協議の中では、観光とふぐ食が結びついていないという意見や、ふぐ食普及のイベントを行なって消費を喚起し、外国人観光客などにふぐ料理を食べてもらうなどの意見が挙がりました。
ほかには、中国産養殖とらふぐの輸入により国産の価格が低迷しているという意見や、若者のふぐ消費の減少、国産養殖とらふぐの価格が安定せず扱いにくいといった、ふぐ消費減少に関する意見が交わされました。
しかし今回は結論が出ず、まとめとはなりませんでした。
ふぐの免許に関する問題について
サミット後半では、ふぐ免許統一についての具体的な協議が行われました。
現在、ふぐの取扱免許や資格について各都道府県の条例や規則などで決められている内容はバラバラで、ふぐの生産と流通の拡大を妨げる障害になっています。
また地球温暖化の影響によって、天然ふぐが生息しているエリアが北上傾向にあります。
これまでの都道府県ごとの免許や資格制度では、こうした環境の変化に十分対応できず、将来的に事故に繋がる恐れが指摘されています。
こうした背景から、時代や環境の変化に合わせてふぐ免許の全国統一が求められています。
ふぐ免許統一のための提言書提出
ふぐ免許の統一については、ふぐ食の安全性を確保するため、これまでも厚生労働省へ訴えかける取り組みは行われていましたが、なかなか法案成立の実現には至りませんでした。
そこで今回のふぐサミットでは、各県のふぐ業者の団体がまず県知事に免許統一を要望し、県知事から全国の動きとして厚生労働省に働きかけてもらうというような行動指標に対する積極的な意見が出されました。
ふぐサミットが行われた翌日には、代表を務める亀井一洋さんはサミットの後半部分で話し合われた内容を取りまとめた提言書を、早速厚生労働省に提出しました。
亀井さんは、「ふぐの産地や生態が変わっていく中、ふぐ毒による事故を防ぎ、安全を守るために早急な対策が必要だ」と話されていました。
ふぐにまつわる問題解決に向けて
今回のふぐサミットは、当日のNHK「ニュース7」でも全国に向けテレビ放映がなされ、地球温暖化によるふぐ漁場の北上の問題に関連して紹介されました。
ふぐに関する専門家・業者のみならず、我々一般消費者にとっても、興味深いニュースとなったのではないでしょうか。
近い将来、ふぐ免許統一に携わる方々の努力によって、ふぐが全国で安全に美味しく楽しめるようになるかもしれませんね。
そして、今後も各分野の専門家の間で積極的な意見交換が行われることで、ふぐに関する様々な問題・改善点がひとつでも多く解決されることを願ってやみません。