「口白症(くちじろしょう)」という病気をご存知でしょうか?
トラフグに神経障害を引き起こす感染症の一つで、口のまわりが白くただれるような症状をみせ、致死量が高いことで知られています。
今回は、トラフグ養殖に大きな被害をもたらす口白症についてご紹介します。
40年間謎に包まれていたトラフグの「口白症」
「口白症」は、1982年に長崎県のトラフグ養殖場で初めて確認され、新規の病気として報告されました。
発症した個体が他の個体に噛みつく異常行動を起こすなどして感染が広がり、一時的に飼育している生簀(いけす)内のトラフグが全滅してしまったということです。
現在も散発的に発生しているとみられ、トラフグ養殖における大きな課題となっています。
さらに、口白症の病原体はウイルスであると予測されていましたが、初めて確認されてから40年近く経った近年まで、ウイルスのゲノム(DNAに含まれる全遺伝情報)は特定されていませんでした。
そのため、PCR検査(遺伝子検査法)による確定診断ができない状態が続き、ワクチンによる防御法も開発することができませんでした。
トラフグ養殖の発展につながる研究が話題に
長らく謎に包まれてきた「口白症」ですが、2026年3月に福井県立大学らの研究グループが原因となるウイルスの全ゲノムを解読し、新種のウイルスであることを明らかにしたと発表しました。
2021年には福井県立大学と三重大学の研究グループによって、ゲノムの一部が発見され確定診断が可能になったものの、全ゲノムの解読が課題となっていました。
今回発表された結果によると、口白症の原因となるウイルスは「アムヌーンウイルス科」に属する新系統のウイルスであることが分かり、「クチジロウイルス・フギナム」という学名が提案されました。
今後の研究では、ワクチン開発による予防対策の強化などが期待されています。
トラフグ養殖をはじめとする水産業の発展につながる技術として、近い将来の実用化が待たれるところです。


