「冬の最高級食材」であるトラフグといえば、国内有数のふぐの集積地であり取扱量が日本一を誇る山口県下関市がふぐの本場として知られています。
ふぐは日本各地で漁獲され、地域によっては多くの方々の努力でブランド化も進められていますが、近年福島県でトラフグの漁獲量が急増していることをご存知でしょうか?
3年間でおよそ10倍の漁獲量?! 福島県のトラフグ漁
天然トラフグの漁獲量が急増している福島県では、2021年までの3年間でおよそ10倍になるほど増加し、さらに今年は去年を上回るペースで漁獲量が増えているといいます。
県北部に位置する相馬・双葉地域の沖合で毎年9月から翌年1月ごろまで行われているトラフグ漁は、福島県水産資源研究所によりますと2018年までは1トンにも満たない年間漁獲量でしたが、翌年以降に急増。
2019年には2.8トン、2020年には6.3トン、そして2021年にはなんと27.8トンにまで急激に増加しています。
漁獲量が増えた要因は現時点では明らかにはなっていませんが、気候変動による海水温の上昇や親潮と黒潮の海流の変化などが関連しているとみられており、ふぐがどこからやってきたのか今後調査していくとのことです。
福島の漁業復興とふぐ食文化のさらなる発展に期待
トラフグの漁獲量が急増している一方で、福島県ではふぐの食文化が浸透していないことや、フグ毒を取り除いて調理できる資格を持った地元の調理人が不足しているといった課題も多く、現在急ピッチで地域の方や観光客に向けたPRや環境整備が行われています。
また、2022年9月には相馬・双葉地域の沖合でトラフグ漁に携わる業者と、ふぐの本場・山口県下関市の市場関係者が相馬市で意見交換を行い、下関唐戸魚市場の郷田祐一郎社長は「忘年会などで需要が増加するシーズンに天然トラフグの供給源として重要な産地になり得る」と話しました。
今回のトラフグ漁獲量の急増は、東日本大震災の影響による福島県の漁業復興の一助になればと期待が寄せられており、様々な課題の解決に向けた取り組みが日々行われているとのことですので、今後のさらなるふぐ食文化の発展につながることを願うばかりです。