ふぐを知る・学ぶ

絶滅危惧種に指定されているフグがいる?!

今、絶滅の危機に瀕しているふぐがいることをご存知でしょうか?
そのふぐとは「カラスフグ」と呼ばれる種類で、2014年11月に絶滅危惧種に指定されました。

2014年に国際自然連合(IUCN)が「絶滅の恐れのある生物」を掲載したレッドリストを発表した際、カラスフグは絶滅が最も懸念されている「絶滅危惧1A類」に分類されました。

レッドリストに掲載されているからといって漁獲禁止などの法的拘束力はありませんが、漁業が盛んな日本にとっては保護策など対応の強化が課題となりました。

カラスフグとは? 高価なトラフグの代わりにも

カラスフグは、東シナ海、日本海西部にかけて生息している、大きさ50cm前後のふぐです。体の背側が全体的に黒いため、標準和名は「カラス」と呼ばれています。鳥のカラスと紛らわしいのでカラスフグと呼ぶことが多いです。
姿はトラフグに似ていますが、尻びれが黒いことがカラスフグの特徴です。

高価なトラフグの代わりに使われることも多く、トラフグには劣るものの非常においしいといわれています。
しかし、カラスフグは過去40年間で全世界の個体数が、99.99%減少したことが国際自然連合(IUCN)の発表で明らかになりました。
これは生物が自然に増える速度を上回るほどの、大量捕獲(乱獲)が原因だと言われています。

カラスフグだけじゃない! 日本の絶滅危惧種

絶滅危惧種とは、スイスの国際自然保護連合(IUCN)が定める、「絶滅の恐れがある生物リスト(レッドリスト)」の絶滅危惧種カテゴリーに分類された生物を指しています。このリストには現在、2万種を超える生物が名を連ねています。

絶滅危惧レベルに合わせて、「絶滅危惧1A類(近絶滅種)」、「絶滅危惧1B類(絶滅危惧種)」、「絶滅危惧2類(危急種)」のカテゴリーに分かれています。

日本ではカラスフグのほかに、ツシマヤマネコやシマフクロウが、絶滅が最も懸念されている「絶滅危惧1A類(近絶滅種)」に分類されています。

カラスフグ絶滅から生物との共存について考える

1000年の間に1種が自然と絶滅していた恐竜の時代に比べ、現在は人間の活動が原因となり、1年間に4万種の生物が絶滅しているそうです。

「絶滅」とは、カラスフグのようにこれまで食用として親しんできた生物を食べられなくなること以上に、地球上から完全に姿を消して二度と見ることができなくなることを意味しています。

さらに、1つの生物が絶滅することにより食物連鎖のバランスが崩れ、他の生物も絶滅してしまう恐れがあります。
その結果、人間が生きていくために必要な食物や環境が、少しずつ失われてしまうことにもつながっていきます。
そうならないよう、今を生きるわたしたちができることは何かを考える必要があるのではないでしょうか。

下関ふく連盟では、毎年トラフグ漁シーズンの始まりの出航式と、シーズン終わりのふく供養祭にて、トラフグ稚魚の放流を行っています。こうした地道な活動が、数年後、数十年後、数百年後の環境・生物保護につながっていくのです。

カラスフグ絶滅の危機という事実から、「ほかの生物たちと共存していくために、未来に向けてわたしたちができることは何か?」を、これまで以上に考え行動していきたいですね。

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