ふぐを知る・学ぶ

天然と養殖のとらふぐを比べてみよう!

秋から春にかけてがシーズンのふぐ料理を愛してやまない方は多いと思いますが、「天然とらふぐ」と「養殖とらふぐ」の違いを説明できる方は少ないのではないでしょうか?

これを知っておけばあなたもふぐ博士? 今回は天然とらふぐと養殖とらふぐの違いについてご紹介いたします。

養殖とらふぐの歴史

はじめに、とらふぐはそもそもなぜ養殖されているのでしょうか?

天然とらふぐは、昭和50年代ごろから地球温暖化や乱獲などが原因で、年々漁獲量が減少してしまいました。
この危機的状況から「とらふぐの資源を回復させて、多くの方々に味わってほしい」という生産者の想いから、とらふぐの養殖が浸透し市場に流通するようになりました。

養殖とらふぐの研究は昭和30年代には既に行なわれていましたが、実際に養殖がさかんに行われ流通し始めたのは、天然とらふぐの漁獲量減少が大きな影響を与えました。
現在では養殖とらふぐの水揚げが天然とらふぐの漁獲量をはるかに上回るほど、養殖技術が進化・向上しています。

天然とらふぐと養殖とらふぐの違いとは?

それでは、天然とらふぐと養殖とらふぐの違いを具体的にみてみましょう。

天然とらふぐは「尾びれ」が違う?

天然と養殖のとらふぐを見分けるためには、まず尾びれの違いに注目してください。
天然とらふぐは広い海でゆったりと泳いでいるため、養殖とらふぐに比べて尾びれが大きく発達し、長く綺麗なことが特徴です。特に狭い場所での養殖は、ストレスからお互いを噛み合ってしまうので尾びれが傷ついた個体が見られます。

ただ、トラフグには養殖した稚魚を放流して自然界で大きくしてから漁獲した「放流もの」と呼ばれるもの、そして漁獲した小型の天然ものを生簀(いけす)で大きくしてから出荷する「畜養もの」と呼ばれるものもありますから複雑です。

天然と養殖の「身」の色の違い

ふぐ刺しにすると養殖とらふぐの身は真っ白なのに対して、天然とらふぐはうっすらと赤みを帯びていることが多いことも、天然・養殖を見分けるポイントになります。

天然と養殖の「味・食感」の違い

近年の養殖技術の向上で、天然とらふぐと養殖とらふぐの味の違いを判断するのは難しいといわれています。
天然・養殖の判別には、味よりも食感の違いで判断されることが多いです。

天然とらふぐは大海で自由に泳いでいたためか、身(筋肉)が引き締まった弾力あるコリコリとした食感が楽しめます。
一方、養殖とらふぐは天然に比べて若干やわらかく感じるため、中には養殖の刺身の方が食べやすいという方もいらっしゃいます。

しかし、刺身の場合は色も食感も熟成の過程で変化しますので一概には言えません。刺身で養殖か天然かを判断するのはよほどの食通でなければ無理でしょう。
一番違いが判るのは、ふぐちりで食べたときの身の食感です。天然の身のぷりぷり感は養殖のそれとはまるで違います。
さらに天然のふぐちりと養殖のふぐちりは、鍋から立ちのぼる香りも明らかに違います。これはやはり両者の餌の違いではないかと思われます。

天然と養殖のとらふぐの違いを当てるイベントも!

ふぐの本場・下関市では、天然と養殖のとらふぐの違いを当てる「利き河豚(ふぐ)味比べ会」が有志によって開催され、毎年参加者から好評を博しているそうです。

ふぐマガでも以前このイベントをご紹介しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。(天然か養殖か? 違いを当てよう「利き河豚(ふぐ)味比べ会」)

まとめ

天然とらふぐと養殖とらふぐの違いについてご紹介いたしました。

天然とらふぐ減少の危機から養殖技術が向上していった裏側を知ると、業者の方々の並々ならぬ努力によって、今のふぐ市場があると言っても過言ではないかもしれません。

それでもやはり一度は食べたい天然とらふぐ。
近年では前述のように各地でとらふぐ稚魚の放流がされていたりと、天然資源保全にも力が入れられています。
いつか、当たり前のように天然とらふぐが食卓に並ぶほどにまで資源回復がなされることに期待したいですね。

そして、今回の天然・養殖とらふぐの違いを参考にしながら、天然と養殖のとらふぐの味や食感の違いをぜひ食べ比べてみてください。
気の置けない仲間たちで、「天然・養殖とらふぐ判別会」をしてみても楽しい食事ができそうですね!

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