ふぐを知る・学ぶ

ふぐ毒で重体?! ふぐ毒で遊ぶ?! 様々な海の生き物

多くのふぐが持つ毒性物質「テトロドトキシン」は、青酸カリの約1000倍といわれるほど強力な毒です。
このテトロドトキシンを除毒処理することで、私たちはおいしいふぐ料理をいただくことができます。

除毒処理は、正しい技術・知識を持つ有資格者の手で行われてこそ、安心安全にふぐ料理を楽しめます。
しかし、残念ながら毎年少なからず釣りなどで入手したふぐを素人が調理して食べたことによるふぐ中毒事故が報告されています。

この取り扱い要注意の毒性物質「テトロドトキシン」、実は人間だけが影響を受けているわけではありません。
今回は、ふぐ毒によって話題となった海の生き物をご紹介いたします。

SNS上で話題?! エイがふぐを飲み込んで重体に

2015年、名古屋の水族館で飼育されているエイが、ふぐの毒によって丸2日間身動きが取れなくなる事故が起こりました。
「シノノメサカタザメ」というエイが、餌やりの時間に偶然近くで泳いでいたふぐを餌と一緒に飲み込んでしまったのです。

この時、エイに飲み込まれたふぐは「コクテンフグ」という種類。コクテンフグは犬顔で可愛らしい見た目とは裏腹に、体内に強い毒を持つ上に、皮膚にも毒を有しています。
ふぐを飲み込んでしまったエイは水槽で激しく泳ぎ始めた後、底の方で動かなくなってしまいました。

ふぐの毒には解毒剤がないため、飼育員はエイをシートに運び出して呼吸を確保し、毒が抜けるのを待ちました。
エイはそのまま丸2日間シートの上で身動きできず、さらにその後5日間は餌を食べられませんでした。しかし、徐々に回復し現在は元気に水槽を泳いでいるそうです。

ほかの水族館では魚がふぐを飲み込んで動けなくなったという報告はなく、「ドジすぎて前例がない」とSNSを通じて大きな話題を呼びました。
海の大型生物でさえも、ふぐ毒によって命の危険にさらされることがあると、改めて知ることになる出来事になりました。

イルカはふぐ毒を利用して楽しんでいる?!

海の人気者、イルカ。動物界ではチンパンジーに次ぐ高い知能を持つといわれています。

近年、イルカの新たな一面が英国の野生動物番組で紹介され反響を呼びました。
その内容は、若いイルカ達が水中でふぐを鼻で優しく突ついたり、ボールのように回して遊んでいるというものでした。

実はこのとき、イルカ達はただ遊んでいるのではなく、刺激を受けたふぐが自己防衛のために放出したテトロドトキシンをわざと吸入して、酩酊状態を楽しんでいるという驚くべき習性の様子が明らかになりました。
酩酊状態になったイルカの中には、水面をうっとりした表情でプカプカ浮かんでいる個体も見られたそうです。

イルカは仲間内でボールのようにつついて遊んでいるふぐの命を奪おうとはしておらず、とても優しく扱っています。遊び道具にされたふぐを気の毒に思うのと同時に、ふぐ毒の性質を理解した上でふぐで遊ぶイルカの知能にも驚きを隠せません。

海の中には、私たちが知らないところでふぐの毒から影響を受けている生物がまだまだ沢山いるのかもしれませんね。

さかいの夏ふぐ
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