ふぐを食べる

寒い冬の味方! ふぐの鍋料理「ふぐちり」とは

気温が低くなると、あたたかい鍋料理が食卓にのぼる機会が増えてきます。
世に数多くある鍋料理の中でも、冬の味覚の王様である「ふぐ」を具材にしたふぐ鍋である「ふぐちり」は、多くの方に愛されている鍋料理のひとつと言っても過言ではありません。

しかし、ふぐの鍋料理がなぜ「ふぐちり」と呼ばれているのかをご存知ですか?
今回は「ふぐちり」の名前の由来や、「ふぐちり」を食べたことがないという方でも簡単に美味しく頂ける方法をご紹介いたします。

ふぐちりの「ちり」とは?

ふぐちりの「ちり」とは、白身魚の切り身を豆腐や野菜などと一緒に水煮にした「ちり鍋」のことを指しています。
ふぐのほかには、鯛(たい)を使った「鯛ちり」や、鱈(たら)を使った「鱈ちり」が有名です。

「ちり鍋」という名前は、魚の切り身を鍋に入れるとチリチリに縮む様子が由来になったとされています。

ちり鍋の起源は諸説がありますが、幕末から明治にかけて西洋人が来日した際に、魚の刺身を熱湯につけて食べたのが始まりといわれています。

ふぐちりは関西では「てっちり」

ふぐの消費量日本一といわれる大阪を中心とする関西では、ふぐちりは「てっちり」とも呼ばれています。

「てっちり」という呼び名は、ふぐのことを指す「鉄砲」の「てつ」と、ちり鍋の「ちり」を合わせた造語です。

「鉄砲」はふぐが持つ毒に由来し、ふぐの毒に当たって命を落とす確率が鉄砲に当たって命を落とす確率に例えて名付けられたことが始まりとされています。
現代ほどふぐ毒が解明されておらず、除毒技術が高くなかった時代でも、ふぐは命を懸けて食べられていたという例えでしょう。

豊臣秀吉によって「河豚食禁止の例」が出され、ふぐを食べることが禁止されていた江戸時代にも、隠れてふぐを食べていた人が絶えなかったほど、ふぐの味は多くの人を魅了していました。もちろん、当時は「ふぐを食べる」とは人前では言えなかったため、隠語としてふぐを「てっぽう」と呼んでいたそうです。

家庭でも手軽に楽しめる「ふぐちり」

ふぐちり

「ふぐちり」は寒い冬にピッタリの鍋料理です。
ふぐちりはふぐを使用していることもあり高級料理と捉えられがちですが、実はご家庭でも簡単に作ることができます。

ふぐちりは昆布出汁の入った鍋に、主に野菜や豆腐などのお好みの具材とふぐの切り身を入れて煮込むレシピが一般的です。

最後の〆には、ふぐのうまみが溶け込んだ出汁にご飯を入れて卵でとじていただく「ふぐ雑炊」がおすすめです。あまりの美味しさゆえ、ふぐ雑炊を食べたいがためにふぐちりを作るという方もいるほど、至福の味を楽しめますよ。
(ふぐマガでも、過去の記事「自宅でふぐ料理に挑戦! 〜ふぐちり(ふぐ鍋)編〜」でオススメのレシピを取り上げていますのでご覧ください。)

ふぐちりはぷりぷりとしたふぐの身を味わうだけでなく、身から染み出した旨味たっぷりの出汁まで余さず楽しめることが、多くの人を引きつけてやまない魅力です。

インターネットが普及した現代では、本場下関からふぐちり用のとらふぐのぶつ切りのほか、あらかじめ除毒された「身欠きふぐ」や「とらふぐのあら」など、手軽に通販でお取り寄せすることが可能になりました。
寒い冬には身も心も温まる「ふぐちり」を、下関や関西だけでなく全国の多くのご家庭が当たり前のように楽しむようになる日はそう遠くないかもしれませんね。

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