ふぐ料理の代表格「ふぐ刺し」
家族や親戚、または気の置けない仲間などといつもより豪華なご馳走を囲む計画を立てる予定の方も多い年末年始は、冬が旬のふぐ料理が食卓に並ぶこともあるかもしれません。
ふぐ料理として真っ先に思い浮かぶのは、やはり見た目にも美しく豪華な「ふぐ刺し」ではないでしょうか?
ふぐ刺しは丸い大皿に工夫を凝らして盛りつけることが多く、美しい花をモチーフとした「菊盛り」「牡丹盛り」の他、身をそのまま円状に並べる「べた盛り」や、職人の技巧が光る「鶴盛り」「孔雀盛り」などの盛りつけ方があります。
食べる芸術品ともいえるふぐ刺しですが、食べる時のマナー、ご存知ですか?
ふぐ刺しの正しい食べ方とは?
テレビで見るような、豪快にふぐ刺しを何枚もすくって食べるのが夢だという方もいらっしゃるかもしれませんが、実は文化も品位も無視した食べ方です。
ふぐ刺しをはじめ、刺身や天ぷらなど日本料理共通の「盛りつけられた料理」は、料理人が盛りつけた順番とは「逆の順番」でいただくのが正しいマナーです。
ふぐ刺しは皿の外側から円を描くように少しずつ皿を回転させ、刺身を順に美しく重ねながら中央が頂点になるように盛りつけていきます。
一般的に食べ物を箸で「下」からほじっていただくことは品位に欠けるため、ふぐ刺しも「上」となる中央からいただくのが正しい食べ方です。
しかし、大皿を複数人で囲む時に中央から手はつけにくく、また刺身は外側から順に並べていくため、外側の方が空気にさらされている時間も長く、乾燥を避けるためにも外側からいただくのは理にかなっているとも言えます。
では、正しいのはどちら?と聞かれたら、下関の老舗ふぐ問屋の方は「内側からいただくのが正しい食べ方ですが、外側からいただくのも理由がないわけではない」と答えているそうです。
ふぐの旨味を最大限楽しむために
ふぐ刺しは薄いので、1枚ずつではなく2〜3枚を箸で内側からすくうように取り、添えてあるネギを巻いてお好みの薬味をあわせたポン酢をつけていただくと、ふぐ独特の歯ごたえと噛めば噛むほど口いっぱいに広がる旨味を楽しんでいただけます。
この冬は、ぜひ正しい食べ方で最後まで美しい盛りつけと、繊細なふぐの旨味をあわせて楽しんでみてください。