2023年4月15日(土)、東京都墨田区の西光寺で68回目となる「ふぐ供養祭」が執り行われました。
1年間にいただいたふぐの命に感謝と冥福を
「ふぐ供養祭」は、ふぐの取扱量が日本一を誇る下関をはじめ、毎年ふぐシーズン終わりの時期に全国各地で開催されている伝統行事の一つです。
1年間にいただいた、ふぐの命に感謝の思いを伝えるために行われ、なかでも東京の供養祭は下関に次ぐ長い歴史を持っています。
供養祭当日は、東京・豊洲市場のふぐを取り扱う仲卸業者らでつくる「東京ふぐ卸売協同組合」の理事や卸関係者など計13人が参列し、ふぐへの感謝と冥福を祈りました。
東京ふぐ卸売協同組合は毎年ふぐシーズンの終わりに供養を行っていましたが、2020年からは新型コロナウイルスの影響で会場を豊洲市場から西光寺に移して実施しています。
ふぐ供養祭には例年であれば多くの関係者が参列し、ふぐへの感謝の気持ちを込めて読経や焼香が行われますが、昨年に引き続き感染対策のために人数を絞って組合の理事長や卸関係者の方々のみで執り行われました。
式後、組合理事長は「来年はより多くのふぐを除毒場に集めてもらいたい」と参列者に呼び掛けました。
ふぐに対する特別な思いが込められた伝統行事
これまで築地市場・豊洲市場で行われきた東京のふぐ供養祭では、式の会場には多くの花が飾られた祭壇が設置され、仏事を終えたあとは外に移動し、参列者によって東京湾へふぐの放魚が行われ幕を閉じていました。
実は「ふぐ」という一種類の魚種だけでこのような供養祭が行われるのは、多くの魚種が国内外から集まる市場においては大変珍しく、日本人のふぐに対する特別な思いや感謝の気持ちが伝統となって大切に行われきた歴史があります。
来年以降、以前のように市場でふぐ供養祭が行われるかについては新型コロナウイルスなどの影響を考慮した主催の方々の判断となりますが、ふぐの命をいただいているということへの感謝の気持ちはこれからも変わらず受け継がれていくことでしょう。