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クサフグの一斉産卵を解明! 名大が大潮時に活性化する遺伝子を特定

毎年5〜7月頃、月や太陽の引力によって潮の満ち引きが最大となる大潮の日は、クサフグが数百から数千の大群となって、海岸の波打ち際で一斉に集団産卵することで知られています。
クサフグが集団産卵する仕組みについてはこれまで謎に包まれていましたが、2022年10月、名古屋大学と愛知・トヨタ紡織などの研究チームが満月・新月の大潮時に活性化する遺伝子を特定したと発表しました!(図:©髙橋一誠/名古屋大学WPI-ITbM)

大潮時に活性化してクサフグの繁殖を促す「cebpd遺伝子」

今回、名古屋大学と愛知・トヨタ紡織などの研究チームによって特定された、クサフグが一斉産卵するのを促す遺伝子。
名古屋大学の吉村崇教授らのグループは、愛知県南知多町の海岸で釣り上げたクサフグの脳がどのように働くのか分析を行いました。

その結果、「cebpd」と呼ばれる遺伝子が大潮時に活性化し、繁殖を促すホルモンが脳内で増加されるなどして、一斉産卵が誘発されていることが明らかになりました。
「cebpd遺伝子」は人間を含め多くの動物に存在しており、クサフグ以外の動物においても、生物の様々な営みが月のリズムに関与しているか今後の研究への期待が寄せられています。

さらに、産卵時にクサフグのメスから「プロスタグランジン」という物質が海水に放出されてフェロモンとして働き、周囲のクサフグの一斉産卵を誘発する仕組みがあることが分かりました。
クサフグは大潮時になると、このフェロモンへの感覚が鋭くなっているのだそうです。

山口県では光市で毎年クサフグ産卵観察会を開催

クサフグは日本の沿岸に広く生息し、ふぐの本場・下関で知られる山口県では光市の室積半島・鼓ヶ浦海岸が「クサフグの産卵地」として一帯が天然記念物に指定されています。
5月中旬から7月下旬に迎えるクサフグの産卵期は光市では初夏の風物詩となっており、毎年一般向けに産卵観察会が行われ、神秘的な生命の営みを一目見ようと多くの方が鼓ヶ浦海岸を訪れています。

近年、観察会は新型コロナウイルスの影響で自粛が続いていましたが、2022年は3年ぶりに見学が行われました。
観光客の方も含めて、子供から大人まで幅広い年齢の方が参加可能ですので、来年以降ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
今回特定された大潮時に活性化する遺伝子について思い出しながら見学してみると何か新しい発見があるかもしれませんよ!

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