冬の味覚の王様として知られ、多くの方から愛されている「とらふぐ」。
とらふぐといえば下関が本場として有名ですが、東京湾でもとらふぐの産卵が初めて確認され、今大きな注目を集めています。
今回はふぐマガでも、東京湾で初確認されたとらふぐの産卵についてご紹介いたします!
東京湾でとらふぐの産卵を初確認!
東京湾でのとらふぐの産卵は、神奈川県水産技術センター(三浦市)によって確認されました。
神奈川県水産技術センターは、とらふぐの産卵期である春に東京湾の湾口部に大型のとらふぐが集まっているとの情報を受けて2017年4月から卵の探索を行なっていました。
そして、2018年4月に採集された魚の卵46粒のうち18粒がとらふぐの卵であることがDNA分析によって判明し、東京湾でのとらふぐの自然繁殖が明らかになりました。
神奈川県水産技術センターによると、東京湾は潮の流れがよく小石混じりの海底になっており、とらふぐの産卵に適した環境なのだそうです。
とらふぐの漁獲量が増加?! 「つくり育てる漁業」
とらふぐの産卵を確認した神奈川県水産技術センターでは、以前から人工的に育てられたとらふぐの稚魚を海に放流し、資源を増やす取り組みが行なわれていました。
2004年ごろから神奈川県内の漁業者と協力し、「つくり育てる漁業」として稚魚放流の取り組みに着手した結果、それまでわずかだったとらふぐの漁獲量が2トンを超えるようになり、2017年には4.4トンに達するまでに増加しました。
漁業関係者は、とらふぐが県の新たな特産魚になるのではないかと期待を寄せています。
とらふぐの特産化を目指して
今回、初めて東京湾の湾口部でとらふぐの産卵が確認されたことから、以前から放流していたとらふぐの稚魚が成長し、自然繁殖していった可能性があることが関係者によって指摘されています。
これまでは放流した魚を一匹でも多く獲ることが目的でしたが、一部を親として残し、海で産卵させてとらふぐが自然繁殖していけば放流効果はさらに大きなものとなります。
神奈川県水産技術センターでは、引き続き漁業関係者や研究機関と協力して調査を進めていくとのことです。
とらふぐの稚魚の放流は下関をはじめとする全国各地で行なわれていますが、今回産卵が初めて確認された東京湾のように、とらふぐ稚魚の放流効果がさらに大きなものになれば、とらふぐがより身近なものとして楽しめるようになるかもしれませんね。今後の研究に大いに期待しましょう!