ふぐを知る・学ぶ

「ふぐ毒」以外にも食中毒リスクは様々! 刺身で食べるのは要注意な魚たち

「ふぐ刺し」はふぐ料理を代表するメニューの一つであり、厚くて弾力のある身の旨味や歯応えを楽しめるよう、料理人の熟練された技術で他の魚に比べて薄く切られていることが大きな特徴となっています。
その一方で、魚の中には刺身では食べられない、または食べる際は注意が必要な魚が数多く存在することをご存知でしょうか?

素人判断は危険! 刺身で食べるのは要注意な魚

ウナギ

ふぐは猛毒・テトロドトキシンを体内に保有していることで知られていますが、「ウナギ」も血液中に「イクチオヘモトキシン」という毒が含まれており、摂取してしまうと吐き気や腹痛といった症状を引き起こす恐れがあります。
しかし、非常に熱に弱い性質を持っているため、加熱することで無毒化されて安心して食べられるようになります。
ウナギは蒲焼きや白焼きが有名ですが、生のウナギをスーパーなどで見かける機会がほんとんどないのはこのためです。通販サイトなどでは、あらかじめ職人が捌いて血液が取り除かれたものを購入できる場合があり、刺身としていただくことが可能です。
このほかには、同じウナギ目のウツボやハモ、アナゴも血液に「イクチオへモトキシン」が含まれています。素人がこれらの魚を自分で捌くのは大変危険ですので避けましょう。

サバ

「サバ」の刺身は鮮度が高ければ食べられますが、食中毒のリスクが高いことで有名です。
サバは鮮度がすぐに落ちやすく、寄生虫「アニサキス」による食中毒の危険があり、人の胃や腸壁に入って急性胃腸炎といった症状を引き起こす恐れがあります。
対策としては、サバを釣り上げた場合はすぐに捌いて内臓を取り除くといった方法がありますが、より安全に食べるにはアニサキスが死滅するといわれる60°〜70°以上の加熱、もしくは-20°で24時間以上冷凍するなど十分に対策しましょう。
また、内臓が取り除かれていない状態で販売されているサバを刺身にするのは避けることをおすすめします。
ちなみにアジやサンマ、イワシなど多くの魚にアニサキスは寄生しています。

さらに、サバはアニサキス以外でも保管や調理で鮮度を落としてしまうと、頭痛や発熱、蕁麻疹といった症状が生じる「ヒスタミン中毒」を引き起こすリスクが高まります。
温度が高いと原因菌となる「ヒスタミン産生菌」が増加するので、速やかに冷蔵しましょう。加熱処理しても毒性が失われることがないので注意が必要です。

シイラ

ふぐは種類によって皮は食用不可となりますが、「シイラ」も皮膚に「陽炎ビブリオ菌」という毒性の菌や、表皮粘膜毒を持っているので、刺身など生で口にする際は十分注意が必要です。
処理が適切であれば食中毒リスクを低減できるため、お店では刺身で食べられることもありますが、釣り上げた時に自分で処理する場合は生食するのは避けるようにしましょう。さらに、調理の過程で包丁やまな板といった器具に毒性の菌が付着してしまう可能性があるので、きちんと殺菌処理するようにしてください。
なお、サバと同様にシイラもアニサキスが寄生しているリスクがあります。

このほかにも、ソウダガツオやホッケ、ニジマスやヤマメ、アユやコイなど、刺身では食べられない、食べる際は注意が必要な魚は様々です。

熟練の職人が調理した「ふぐ刺し」を楽しもう!

熟練の職人が調理した「ふぐ刺し」を楽しもう!

ふぐは、冬の最高級食材として有名なトラフグの刺身が絶品で、大皿の上に1枚ずつ盛り付けられた様子は、まるで芸術品のような料理で多くの人から愛されています。
ふぐの厚くて固い身は、人間の頬でも噛み切りにくいほどの弾力を持っていることから、顎が疲れることなく、味に集中できて歯応えを楽しめるように、薄く切る「薄造り」という調理法が生み出されました。

一方で、ふぐは猛毒・テトロドキシンを保有しているため免許・資格を持たない素人による調理は大変危険です。
テトロドトキシンによる食中毒事故は、例年全国各地で20〜30件発生しているといわれており、「自分は大丈夫」と過信するのはトラブルにつながる恐れがあるので、絶対にふぐを素人判断で調理したり、人にあげたりするのは避けましょう!

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