フグの本場・山口県下関市では、フグは「幸福を呼ぶ縁起のよい魚」とされており、「福」にかけて「ふく」とも呼ばれ多くの人々から親しまれてきました。
フグは山口県を代表する魚として「県魚」にも選ばれており、そのほかの各都道府県でも地域のシンボルとなる魚が県魚に定められています。
そこで今回は、山口県をはじめとする各都道府県の県魚や、その由来について調べてみました!
海のない地域にも「県魚」が! 各都道府県の県魚とその由来とは?
各都道府県では、その地域のシンボルとなる木や花、鳥などをそれぞれ「県木」、「県花」、「県鳥」として定めています。
そして、一部の都道府県では魚も同じように「県魚」を制定しており、海のない地域でも川魚が県魚に選ばれています。
中国・四国地方
フグを県魚に制定している山口県では、平成元年に県民からの公募によって定められました。
フグの漁法である「延縄(はえなわ)漁」が考案された地であるほか、かつてフグ食が禁止されていた時代、初代内閣総理大臣・伊藤博文が下関を訪れたことがきっかけとなって解禁されたという歴史的背景が主な由来となっています。
下関市はフグの取扱量が日本一を誇り、フグの本場として知られることから県魚に選ばれるのも納得ですね。
そのほかの中国・四国地方の地域では、鳥取県の沿岸地域で獲れるヒラメ、島根県で公募によって選ばれたトビウオ、広島県で全国一の生産量を誇るカキ、香川県で養殖が盛んなハマチ、愛媛県で全国屈指の生産量のマダイ、高知県で一本釣りが有名なカツオなどがそれぞれ県魚に選ばれています。
九州・沖縄地方
沖縄県では県民に広く親しまれているとしてタカサゴが県魚に制定され、熊本県では養殖が盛んで国内でも有数の生産量を誇るクルマエビが選ばれています。
また、長崎県ではタイやイカ、アジやサバ、ブリ、そしてフグなど多くの魚が季節ごとに選定されています。
一方で、鹿児島県では「県魚」としての指定はありませんが独自の取り組みとして「旬のさかな」が指定されています。
近畿・中部地方
和歌山県では県民投票によって県魚に指定されたマグロ、海のない奈良県ではキンギョ、アユ、アマゴの3つの川魚が選ばれています。
大阪府や京都府では県魚の指定はありませんが、マダイやトビウオ、ヒラメといった多くの魚が京都の「丹後・旬の魚」に選定されています。
そして中部地方では、新潟県が発祥の地とされる錦鯉、富山県の名産であるブリ、ホテルイカ、シロエビ、福井県で冬の王様として親しまれている越前ガニ、岐阜県で長良川の鵜飼いと共に有名なアユなどがそれぞれ選ばれています。
関東地方
茨城県では県民からの公募で決められたヒラメ、千葉県では明るいイメージを持つ県の発展の象徴としてタイが選ばれていますが、東京都や神奈川県では県魚の指定はないそうです。
また、海のない群馬県と埼玉県では川魚であるアユとムサシトミヨが選ばれています。特にムサシトミヨは埼玉県の天然記念物に指定されており、熊谷市の元荒川上流部でしか見られない希少な魚です。
北海道・東北地方
北海道では県魚は指定されていませんが、青森県を代表する魚として親しまれているヒラメ、岩手県で本州一の漁獲量を誇る南部サケ、秋田県ではおなじみのハタハタ、山形県の豊かな自然をイメージするとしてサクラマスなどがそれぞれ選ばれています。
まとめ
各都道府県の県魚とその由来についてご紹介しました。
それぞれの地域で漁業などが盛んな魚がやはり県魚に選ばれていることが多い一方で、海のない地域では天然記念物の川魚が選ばれているなど、各都道府県によってさまざまな想いが込められていることがお分かりいただけたのではないでしょうか?
フグの本場・山口県下関市をはじめ、今後旅行や出張などで各都道府県を訪れた際は「まずは地域のシンボルをいただいて味比べしてみよう!」というのも新たな発見があるかもしれませんね。