ふぐを知る・学ぶ

人工孵化に成功したことも? ハリセンボンの仲間「イシガキフグ」

ハリセンボンはフグの仲間で知られていますが、ハリセンボン科に属する魚としてはさらに様々な種類が存在しています。
なかでも、「イシガキフグ」は体を覆う棘が短いため「まるで髪を切ったハリセンボン」ともいわれており、過去には日本の大学が世界初となる人工孵化に成功した魚としても有名です。

そこで今回は、大きな目と口が可愛らしいイシガキフグについてご紹介します。

散髪後のハリセンボン? イシガキフグ

イシガキフグは、生物学上ではフグ目のハリセンボン科イシガキフグ属に分類される魚です。世界中の海に生息する魚で、日本では北海道以南の各地でみられ、主に浅海の岩礁やサンゴ礁に分布しています。
ハリセンボンの仲間の中では大型になる種類であり、およそ50cmまで成長します。

ハリセンボンと比べてイシガキフグは棘が短いことが大きな特徴となっており、「まるで散髪したてのハリセンボンのようだ」と、その可愛らしい見た目が魅力です。イシガキフグの棘の根元は3本であるのに対し、ハリセンボンは2本であるという違いもあります。
またハリセンボンの棘は可動性ですが、イシガキフグは棘を動かすことはできません。

イシガキフグの詳しい生態については謎に包まれていますが、2021年には東京海洋大学の水圏生殖工学研究所が世界初となった人工孵化に成功したことが大きな話題となりました。
自然繁殖には成功しなかったものの、人工授精という形で孵化に成功し、世間を驚かせたニュースが記憶に残っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このほかにも釣り上げられたイシガキフグが威嚇して体をパンパンに膨らませ、海に放流すると徐々にしぼんでいき、スリムになっていく姿などがSNSで度々話題となっています。

人懐こい性格で水族館でも人気

イシガキフグは大きな体が印象的な魚であるためか、数多くの水族館で見ることができます。大きな目と口で可愛らしく、性格も人懐こいといわれているので、ぜひハリセンボンや他のフグとの違いを比べて観察してみてはいかがでしょうか。

なおイシガキフグは市場にはほぼ流通しない魚である一方で、沖縄など生息数が多い地域では汁物や鍋料理の食材としても利用されています。
ただし、他のフグと同様に免許・資格を持たない素人が調理するのは大変危険ですので、釣りなどで目にする機会があった場合は取り扱いに十分注意し、必ず有資格者が処理したものを食べるようにしましょう!

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