ふぐを知る・学ぶ

素人判断は禁物! ふぐだけじゃない危険な魚の毒・寄生虫

ふぐといえばフグ毒・テトロドキシンを持ち、免許・資格を持たない素人が調理して食べてしまうのは大変危険なことで知られています。
そのため、万が一釣り上げても決して自分で調理してしまわないよう十分注意が必要ですが、海にはふぐ以外にも毒や寄生虫などに気をつけなければならない魚がいます。

今回は、釣り上げてすぐに生食するのは危険な魚の毒・寄生虫についてご紹介します。
(※フグ毒は加熱などの調理方法でも無毒化されることはありませんので、正しい知識・技術を持った有資格者による処理が必須です)

釣り上げて食べるのは危険な魚の毒・寄生虫

フグ毒

「フグ毒」として有名なテトロドトキシンは、青酸カリの約1000倍といわれるほど強力な毒素であり、トラフグをはじめとする多くのふぐの仲間の体内に蓄積している猛毒です。
300度以上で加熱しても分解されず、解毒剤もなくわずか0.5〜1.0mg摂取しただけで致死量に達するといわれる恐ろしい特徴がある一方で、ふぐ処理の免許・資格を持たない素人が釣り上げてきたふぐを食べてしまう事故が度々起こっています。
テトロドトキシンは人の体にしびれや麻痺、呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合は死に至ることもありますので、絶対に素人判断で調理しふぐを口にするのは避けてください。

また、テトロドトキシンよりも強い毒素で知られるパリトキシン(ハコフグ、アオブダイ、ソウシハギなど)、神経の症状が1年以上続くこともあるシガテラ毒(バラハタ、バラフエダイ、ギンガメアジ、イッテンフエダイなど)も、フグ毒と同様に加熱しても分解されないため注意が必要です。

アニサキス

アニサキスは魚介類に寄生する大きさ2~3cmほどの寄生虫の一種です。
主にサバやタラ、サンマやイカなどに潜んでいることが多く、内臓や筋肉に寄生しているため生食してしまうことで人体に侵入し、食中毒を起こす原因となります。
誤って口にしてしまうと、魚介類を食べて数時間〜数十時間後にアニサキスが胃壁や腸壁に食いついて急な腹痛や嘔吐、悪心などの症状が現れます。
ひどい場合は重篤化したりアレルギー反応を起こしたりすることがあるので、疑わしい時は早急に病院へ行きましょう。

アニサキスを防ぐには魚を生食するのは避けて、60℃以上1分以上の加熱かマイナス20℃以下24時間以上の冷凍処理をするのが有効です。
そのほかにも、釣った魚を早めに内臓除去する、調理中に魚の筋肉に侵入していないか目視で確認するといった方法もアニサキス対策に重要ですので、特にお刺身が好きな方は心得ておきましょう。

顎口虫

顎口虫は、主にヤマメやドジョウ、ナマズやライギョなどの淡水魚に寄生する寄生虫の一種です。
顎口虫の幼虫が寄生している魚を生食してしまうと、人の皮下組織に移行して皮膚のかゆみや腫れ・痛みを引き起こすことがあり、最悪の場合は内臓、目や脳に入り込み、失明や脳障害などの恐ろしい事態となる危険があるため十分注意が必要です。
顎口虫は魚を加熱処理すれば死滅しますので、生食せずしっかり熱を通すことが重要です。

イクシオヘモトキシン

イクシオヘモトキシンは主にウナギやアナゴ、ハモやウツボなどのウナギ目の魚類が血液中に持つ神経毒の通称です。
これらの魚を生食して大量に血を摂取してしまうと下痢や嘔吐、呼吸困難などの症状が現れ、最悪の場合は死に至ることもある恐ろしい神経毒です。

さらに血に手で触れると炎症を起こしたり、目に入ると失明につながったりすることがある危険な物質ですので、もしも自分で調理する場合は注意してください。
イクシオヘモトキシンは、60℃で5分しっかり加熱すれば毒性が失われますが、直接触れないよう必ずゴム手袋をする・目を保護する・すぐに洗い流すといった安全対策を心がけましょう。

ワックスエステル

ワックスエステルとは、アブラソコムツやバラムツといった深海魚などに多く含まれている脂質です。
この脂質は体内で消化できないため、大量に摂取すると下痢や腹痛、皮膚から油が漏れ出る皮膚漏症を引き起こすことがあります。特に下痢は特有の悪臭があり、脱水症状を起こす恐れも。
アブラソコムツやバラムツは食品衛生法で販売が禁止されていますが、台湾など海外では流通している国がありますので、旅行で市場などに訪れた際は注意しましょう。
また、オオメマトウダイは干物としてスーパーなどで販売されている魚ですが、ワックスエステルが含まれていますので、生食は避けて網の上でよく焼くなどして脂分を取り除くようにしてください。

素人判断は禁物! 正しい知識を身につけよう

近年は、コロナ禍で三密を回避しながら楽しめるアウトドアレジャーとして釣りを始める方が増えている一方で、釣り上げた魚を危険と知らずに誤って食べてしまい思わぬ事故につながるケースも増加しています。
特にフグ毒などは、最悪の場合は死に至る恐れがあるほど危険な毒素ですので、決して素人判断で調理して食べてしまわないように十分注意してくださいね!

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