「ふぐの王様」で知られるトラフグをはじめ、世界には約100種類以上にのぼるふぐが存在するといわれています。
ふぐマガでは、これまでユニークな特徴を持つふぐの仲間たちを数多くご紹介してきましたが、なかにはまるでネズミのような顔をしている「ネズミフグ」という種類がいることをご存知でしょうか?
ハリセンボンの仲間・ネズミフグとは?
ネズミフグは、フグ目ハリセンボン科に分類されるフグの一種です。体長70cm以上に成長し、日本でみられるハリセンボンの仲間では最も大きな種類として知られています。(トラフグやマフグといったフグたちはフグ目フグ科に分類されます)
ハリセンボンに比べて短い棘に覆われているのがネズミフグの特徴であり、茶色地で黒斑点が腹部を除く全身に見られます。
顔や後ろ姿がネズミに似ていることから「ネズミフグ」という名前がつけられたと考えられており、驚いたときや外敵などに対して威嚇するときは棘を立てて体を大きく膨らませるので、その姿はまるでハリネズミのようです。
学名は「Diodon hystrix(ディオドン・ヒストリックス)」で、「2つの歯を持つヤマアラシのようなもの」といった意味があります。ネズミフグは上顎に1枚、下顎に1枚と計2枚の板状の歯を持つことが特徴で、針を逆立てて威嚇する齧歯類のヤマアラシと習性が似ているのが学名の由来となっています。
ちなみに沖縄では「イノーアバサー」と呼ばれており、食用魚として扱われ鍋や味噌汁などの料理に利用されています。ただし毒性については未解明な点も多いため、他のふぐと同様に免許・資格を持たない素人が調理するのは大変危険です。必ず有資格者が処理したものを食べるようにしましょう。
ネズミフグは「縁起が良い魚」として人気?
可愛らしいネズミフグの姿は全国各地の水族館で鑑賞することができます。特に子年(ねずみどし)には福を呼び込む縁起の良い魚として特集展示される機会も多く、前回は2020年、次回は2032年が子年になりますので、覚えておくと何か良いことがあるかもしれませんよ。
このほかにも「寅(とら)年」にちなんだトラフグをはじめ、縁起が良いふぐの仲間がいるので、ぜひお気に入りの「推しふぐ」を探してみてはいかがでしょうか?